20.計算力がない人はどうすればよいのか
 「計算力を身につけるためによい参考書・問題集を教えてほしい」というという質問がよくある。
 確かに計算力が数学の中ではかなり重要な位置づけを持っている。計算力は、数学の基本であり、このことなしに、問題を解くことができないものが大多数だ。
 そもそも、計算力とは何でしょう。計算力にもいくつかあると思いますが、限られた試験時間内で一定の結論を出すために計算の速度と、当然ながら計算の正確さの2本で成り立っている。

 いくつかのケースに分けられますが、とりあえず、受験前に考えるべきことと、そうでない場合に分けて考える。

1.受験前にどう考えるか
 受験生として取り組んでいる時に計算力の向上のことを考え、そのために参考書・問題集の類を必要ではないかと考える人がいる。しかし、私は、計算はあくまでも問題を解くためのプロセスで使う場合が圧倒的大多数であり、そのための練習を受験期に行う必要はない。
 結論から言うと、問題を解くときの計算を真剣に取り組むことによって解決するのが最も早いということだ。私はよく、「勉強のための勉強はしないように」と言うだが、計算のためにドリルを解き、それで計算力を上げるということがもっとも効率よく計算力を受験気前に伸ばす方法であるということである。ケアレスミスが多い人がケアレスミスを少なくするための方法は何かと聞かれたら、普段の勉強で自分が間違える部分には何らかの本人ならではの傾向があるはずである。その傾向をつかみ、その場面で特別な注意を払うという姿勢が大切だ。これらを行うことによって、計算力は確実に向上していく。

2.受験期以前にどう考えるか
 基本的なことであるが、案外意識されていないことがある。それは、先にも掲げたように、計算力というのには速度という要素があるということである。したがって、計算力というのはいくらつけてもつけすぎることはないということにもなる。100m走世界記録を出していても、その上が必ず存在するように、本人の中の努力をすればするほど力がついていくということである。しかし、そればかり行っていても仕方がない。計算力は日々の努力のたまものであるということを肝に銘じておいてもらいたい。
 また、計算の正確さについて。「計算はあっていれば良い」ということの中で、必要以上に省略する人間がいる。そういう人間は考え方を改めた方がよい。「絶対完璧に計算できる」という確信があるところのみ省略し、あとは極力丁寧な計算を心がけた方がよい。振り返って間違いを訂正すると、省略したことをきちんと書いておけばやり直す必要がないということが多い。結局省略したことによって間違え、それによって時間を必要以上に無駄にするということは多い。注意力不足による単純なミスによる時間の無駄を省くためにも、丁寧な計算を心がけることが大切である(これは、社会人になってからの仕事とまったく同じである)。また、ところどころ計算の難しかったところを確認しておく関門を判断し、そこまでの計算をチェックすることが大切である。途中の計算を間違えれば、以降の計算も間違えていることになるわけだから、問題を直すための時間ロスが大きくなる。
 また、計算力がない人間の傾向としてあげられるのは、「計算は間違えていたら直せばよい」的なないがしろな姿勢で取り組むことである。そういう人間は何をやっても伸びない。小さなことができない人間には、大きなことはできない。
 加えて言えば、大学入試センター試験型のマークセンスならばともかく、記述式の試験を受験を将来的にする人は、きちんとした計算を書くことそのものが求められる。最近の受験生の中では、記述力が極端に不足しているといわれることが多いが、計算の必要以上の省略ということが論理の飛躍になり、答案として理解不能なものも多い。逆をいえば、そういう答案を作らないようにするということが他の受験生との差につながる。何より、些細なことも相手に伝えようという意志を持って誠実に解答を書かなければ、受験では役に立たない。
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