呼  吸

 

ひとりきりの部屋のベッドで

私は、声を出さずに泣いていた

失ってしまった人

決して戻っては来ない人のことを思い

声を出さずに泣いていた

 

胸から湧き出た水は

目からあふれて頬をつたわり枕を濡らす

つぎつぎと溢れ出す水は胸を締め付けて

私の呼吸はだんだんと弱くなっていく

 

「このまま、息が止まってもいいか」

そう思った時、涙で濡れた頬が少し緩んだ

堪えていた嗚咽が溢れ出し

激しく咳き込んだ後、呼吸が戻ってきた

 

「涙の塩辛さは、海の水に似ている」

腫れたまぶたを冷やしながら

私はぼんやりと思っていた