指輪のあと
『そろそろ、こんな関係終わりにしないか?』
ついにあなたの口から、この言葉が出てきた
「わたしも、ずっとそう思っていたの」
やっぱり、もう終わりなんだ
いつからか、あなたの部屋に泊まりに行く回数が減っていた
別に、他の女の影がちらつくわけではない
あなたに、そんな器用なこと出来る訳もないし
いわゆる、倦怠期? そんなやつかな、って思っていたけれど。
このままだと、別れることになりそうだな
また一緒に遊んでくれそうなシングルの友人は
まだ何人か残っているだろう
「ほかのものは、あとで送るから」
去年の誕生日プレゼントの指輪を外す
指輪のあとが白く残る
気に入っていたのに
『捨てるのはもったいないから、次の彼女のためにとっておくよ』
無理しなくてもいいよ
「捨てなさいよ。そんなもの、もらってもうれしくないわよ」
はっきり言い過ぎたかな
指輪のあとを見つめながら、楽しかった日々を思い出す
そう、わたしも少しだけわがままだったね
ほんの少しだけだけれど
『もう一度、初めからやりなおそう。』
そう言ってくれる気はあるの?
ちらりとあなたの方をみたけれど、あなたはどこか遠くを見つめている
私は指輪のあとに目を落とす
あの角を曲がると私のアパートが見えてくる
「捨てないで!」って私から言わせるつもりなの?
