「主任、石崎会長の容態はまず回復しないと思われますが」
「『昭和の怪物』にもヤキがまわったねぇ。最後の最後でこれなんだから」
「警察の方の、そろそろ流します?」
「まだいいんじゃないかな。虐殺話で下がったイメージ回復に大童みたいだし」
「なんだ。一気にたたむんじゃないんですか。抑えとくの面倒ですよー」
「今動いたら東京の方がついて来れなくなりそうなんだよ」
「それが理由なんですか? てっきり『カードは最後まで伏せておくものなんだよー』
 とか言いたいのかと思ってました」
「それは違うでしょ。主任、ワイルドカードじゃ上がれない主義者だから」
「主義とかの問題じゃないんだけどなぁ」

「みんな肝心なこと忘れてるね。
 今から頑張っても夏のボーナスには間に合わないんだよ」




おぼうさんの声は低くて、たくさんのひとの声がひびいて、
耳のおくがわんわん鳴ってる。
白いお花も、ところどころの金色もちかちかして目が痛い。
みんなみんな黒い服。おじいちゃんが好きじゃなかった色。
おとうさんもおかあさんも、なんだかやさしくない。
さやかにもおじいちゃんにもやさしくない。

一番やさしかったひとはもういない。
頭をなででくれた手も、笑うとくしゃくしゃになるお顔も。

あたまのなかがわんわん鳴ってる。
おとうさん、おかあさん。めいわくってなに?
どうしておこってばかりなの?

きゅっと握りしめられる手のひら。
正座した、黒いスカートのひざの上。