cureless2/3

 夜の冷たさは確実に和らいでいた。夜歩く人も、多くなってきているだろう。
 そう、寒さは必ず癒えていくんだ…。
 光に侵食される都会の夜でも、冴えた満月は見える。ましてや、ここは豊平川河川敷。比較的空は広く見える。僕らは夕方からここにいて、川に揺れるプラチナ色の街の明かりや星空を何となく見ていた。
 どうしてこんな所にいるかと言うと、僕が女の子の喜びそうな場所をあまり知らないこともあるし、彩音が人の多い場所を好まないためでもある。彼女はどちらかと言えば、緑が似合う(と僕は思う)。夜の冷たさは僕にはたいして気にならない。むしろ彼女の側にいて、満たされる想いのほうが重要だった。彼女がどう想うのかは、わからないけれど。彼女の側にいたい、それは恋なのか、それとも…。
「寒いだろ、もう帰る?」
 僕は彼女のために口を開いた。彼女のためなら、離れても仕方がない。
 彼女は小さくかぶりを振った。
「…龍、あったかいから」
「……」
 彼女の額の重さを、心地よく受け止める。都会の闇の底で、僕らは二人きりだ。
「ごめんね、忙しいのに。でも、龍といたいの…」
 今日の彼女は、どこか様子がおかしい気がする。何か悩んでいるようにも、沈んでいるようにも見えた。だから僕といたいのか…でも僕は、それでもいい。
 僕はふと、冴えた月を見上げる。銀色の光は冷たいようでもあり、温かさをもたらすようでもあった。
「…ねえ、龍」
 僕は彼女を見たとき、彼女は持っていた鞄の中から何か探しているところだった。わざとなのか、僕と目をあわせないようにしている。
 そして、握った掌を僕に差し出した。
「これ、新曲のお礼に。…すごく感動したから、これからもいい曲作れるようにお守り…要らないかもしれないけど」
 ずっと機会を窺がっていたらしい、彼女の手の中にあるのは細長いクリスタル柱だった。ネックレスにしては長めの黒い紐がついている。それは、多分値の張るようなものではないだろう、でも。
 僕がしばらく黙っていると、彼女は開いたその手を引っ込めようとした。
「やっぱり、要らないよね。お守りって言っても、特別なものじゃないし…」
 僕は慌ててその手をつかむ。彼女が驚いて顔を上げた。
「あ、ごめん…そういうことじゃないんだ、その…何か慣れないものだから。彩音がわざわざ選んでくれたものを、要らないなんて言えないよ」
 …何か立場が逆のような気もするけど。ああ、僕はどうしてこんなに鈍いんだろう。歌しか、僕は彼女にプレゼントしていないんだ。
 ともかく、僕は彼女のくれたクリスタルを首にかけてみる。紐が長いから、クリスタルは服の下に隠れてしまうけれど、お守りならそれでもいいのだろう。彼女のお守り、誰にでも見せたくないし…。
 クリスタルはなんだか温かい。彼女の想いか、それとも月の光のせいか。
「ありがとう、大事にするから」
 素直にそう言うと、彼女ははにかみがちに笑った。そんな彼女に僕は説明のできない強い何かの感情を覚える。それが恋なのか、まだわからない。
 でも、思えば僕は…こんなにも彼女を想っていても、その翳りの意味すら知らない。それでもいいと思っていた事は確かだ。でも、本当にそれでいいのだろうか?
 彼女の痛みを、僕は何も知らないし、知ろうともしなかった…。僕が人間じゃない、ただそれだけで、強い絆を避けようとしていた。僕は、光をもたらすバハムートだというのに…。
 僕は口を開く。決意めいたものをして。
「once in the blue moon」
「え?」
「とても珍しいことって意味。…今日は満月だね、何が起きても不思議じゃない夜だ。彩音の心にも、光が届けばいいのに」
「……」
 彼女は額を僕の方から離す。温もりの余韻を風が流していった。淡い月光のなかで、彼女の何とも言えない顔を見つめる。
「僕といて満たされるなら、僕は何も言わない。…でも彩音はいつも悲しそうだ、僕はそれが辛いよ。僕は君のことをもっと知りたい。君の求める光が何なのか」
 彼女の相貌に、はっきりと驚きの色が浮かんだ。それは、あの新曲を披露したときの表情と同じだった。それから彼女は何か言おうと口を開きかけて、顔を背ける。
 僕は…何か、とても哀しくなった。
「僕じゃあ…駄目なの? 一緒にいることくらいしか、僕にはできない?」
 それでもいいはずだった。彼女が望むなら。なのに僕は、彼女の満たされない何かを、埋められると思っていた…。
 彼女は視線を合わせないまま、かぶりを振った。
「そうじゃない…嬉しいの。でも龍を巻き込めない。あれは私の問題だから…ごめんね、私、あなたの側で自分だけ気休めしてる」
「そんなことはいいんだ…気休めにでもなれるなら。でも僕は、彩音の本当の笑顔が見たい。彩音の辛い顔は、僕も辛くなる。僕のことは…ただのお節介だから気にするな、利用すればいい。君の笑顔のために僕ができること、きっとあるはずだから」
 …僕には普通の人間に出来ないことも出来るんだ。それは、言葉に出しては言わなかったけれど、結局僕は、自己満足したいだけなのかもしれない…。
 彼女はまた迷ったようだった。そして結局、答えは同じだったようだ。
「駄目…! あなたはhatoじゃない。これからも歌える人よ。そんな人に、迷惑かけられない」
 頑なに首を振る。僕はそんな彼女の肩をつかんだ。今度は、何だか喚きたい気分だ。
「そうじゃない! いいんだ、僕なんてもののことは…。だって僕は決めたんだ、君が、僕の…」
 夢中で言いかけて、僕ははっと気がついた。自分が何を言おうとしたのか。意識の表面では浮かばない言葉。自分という存在の深遠に刻み込まれた、だからこそ理解できなかったその想いの名を。
 僕は初めて、知った。そういうことだった。
 彼女は途中で止まった僕を見上げていた。僕はひとつ間を置いて、吐き出す。
 たったひとつの真実を。
「僕というものの根源。存在を決めるもの。…マスターだからさ」
 彼女には、きっと意味がわからなかったに違いない。僕だって、彼女には真実らしいものを言ってはいなかったんだから…。でも僕は決めてしまった。いや決まっていたのかもしれない。
 彼女が、僕の召喚主(マスター)…望みを叶える相手だということを。
 ならば、それは恋ではありえない。
「…僕の存在理由は、すべて君に帰結する。だから僕を使えばいい。君の光のために僕はいる。君が幸せになるために…僕は生まれてきたんだ。そう思うから」
 後から思うとどうしようもなく恥ずかしい台詞だろうけど、その時の僕は真剣だったし、それにそれは多分、真実だった。僕は自分の真実というものを、ようやく見つけた、気がしていた。
 彼女はというと、眉をひそめて疑わしげにこちらを見つめている。僕が何を言っているのかわからない、そんなところだろう。それも無理もない、僕はきっと彼女の常識を超えたところに存在してしまっているから…。
「いや、理屈はいいんだ。僕は君の役に立ちたい、そういうことさ。君には何もしていない…これのお礼も」
「そんなこと…だって…」
 彼女は口ごもり、うつむいた。困惑しているのがわかる。
「彩音」
 僕が彼女に触れるより一瞬早く、彼女は僕の手を逃れるように身を引き、そして立ち上がった。
「駄目なの! だって…ごめんなさい!」
 言いかけてやめたような感じで、そのまま走って坂を駆け上がっていく。
「彩音!」
 僕は追いかけようとして、それはまた彼女を困らせる事になると気付く。追いつくのは簡単だったけれど、できなかった。中途半端に手を伸ばした格好で、闇に沈んでいく彼女の背中を見送る事しかできない。
 僕は…人の心に関してはあまりにも無力で。それを思い知ったようだった。
 たぶん、僕を喚んだのは彼女なんだ。だから僕は彼女と出会った。なのに、僕は『使命』を果たせない。彼女に光をもたらせない…。
 かぶりを振る。
「…そんなはずない。僕は、彩音のためだけに…」
「おお、熱いことで」
「…!?」
 突然割り込んできたその声、なんだか気楽そうな声に、僕は正直驚いた。ここには誰もいなかったのだ。たまたま通りがかったにしても、その声は近すぎる。
 反射的にあたりを見まわすと、またしても突然、視界に人影が現れた。間に闇があるためよくわからないが、どうやら男のようだ。僕が絶句していると、男はさくさくと草を踏んで近づいてくる。
 なんだかくたびれたような、そんな印象の男だった。実際何がくたびれているわけでもないけれども、夜なのにサングラスをかけて、タバコをふかしている所為かもしれない。
「本気で惚れとんの?」
 なんの気兼ねもない様子で、あるいは慣れている様子で、そんなことを言ってくる。
「そ、そんなんじゃない! …って、誰だあんた!?」
 少なくとも見覚えはない。…あまり人の顔を憶えておく方ではないので、会ったことは、あるかもしれないけど。
「それはこっちの台詞や。これは俺たちの『シマ』やで、なんであのコにくっついとるん?」
 関西訛りで、よくわからないことを言う。
 あのコ…彩音のことか!?
「あんた…彩音を!?」
 僕は立ち上がり、身構える。喧嘩ではそうそう負けない自信はあった…んだけど、男は肩をすくめただけだった。
「あのなあ。何だか知らんが、もうちょっとうまい生き方せいや。敵増やすだけやで」
「彩音をどうするつもりだっ!」
「……これは俺たちの『シマ』やって言うとるんや。あのコに関わらんことやな。どこのネットワークの奴か知らんけど、俺たちの仕事の邪魔されると迷惑やさかい」
 …ネットワーク?
 僕がその言葉に引っかかったのには気付かなかったようで、男は煙草の煙をひとかたまり吐き出した。
「まあ、ルイトモって言うけどなあ。あのコ心配すんなら、俺達に任しとき。俺たちやて、金ももらわんとあのコのこと守ってやるつもりやねん…こーゆーことは、『同類』でないと片付けられへんさかい」
 僕ははっきり言って、言ってる事の意味がよくわからなかった。彩音に危害を加えないなら、それはそれでいい。それにしても、彼は一体何者だ?
「それから。若いのはわかるけど、もうちょっとうまく化けた方がええで。人間は騙せても同類にはバレバレや、そのオーラ」
「…え!?」
「ま、それだけや。あんま邪魔すんなよ。…ああ、そう、俺たちは『タリウス』ってネットワークやねん。この件が片ついたら、遊びにでも来いや。すすきのにあるで」
 ほとんど一方的に喋って、男は姿を消した。そう、本当に消えたのだ。なんの前触れもなく。さくさくという音だけが、遠く離れていく。
 僕はぼんやりと、佇立していた。そうするより他になかった。
 『オーラ』と、彼は言った。…僕がヒトでないことを知っている。それだけで、僕にとっては驚愕に値した。
 そして、『タリウス』って…。
「同類? 僕と…?」
 今度こそ、それを聞いたものはいなかった。

「……」
 僕は自分の部屋の隅で、滅多に吸わない煙草をふかしながら窓から差し込む闇を睨んでいた。何をすべきか考えていた。
 何のことだかよくわからないけれど、『タリウス』という『ネットワーク』が彩音に関わっている。それが僕の同類…つまり妖怪? で、どうやら彩音に危害を加えるわけではなさそうで。
 すすきのにあるとか言っていたから探せば…どうにかなって、詳しいことは聞けるかもしれない。
でも。
 …彩音を護るのは、僕だけでいい。
 僕の想いは、恋ではないはずだ。彼女が幸せになれるなら、彼女が他の人を選んでもいいんだ。
だからそれは嫉妬ではないだろう。いうなれば、同類に対する『劣等感』だ。そう、醜いエゴだったんだ…。
 『僕は彩音のためにいる』そういう存在だから。僕の意識は、それだけに傾いていた…。
 僕はおもむろにPHSを手にとって、リダイヤルを押した。
「…ああ、靖? 龍だけど、次のライブの事で…」

「…『天使』の方は?」
「伯爵に張ってもらってる。いい加減、カタつけちゃおうよ隠さん。ネタはあがってるんだからさあ」
「う〜ん…それが手っ取り早いんやけど。彼女の方どうすんねん? 前の彼氏に化けてるんやろ?」
「そんなこと、殺されるよりましだろう」
「黙っとれ自分。…ねえマスター、〔人払い〕頼まれてくれへん? 一人にしてまえばどうにでもなるやろ」
「…あ〜、そうですねえ〜」
「で、あのコどうしたの? あのバンドのかっこいい人」
「そ〜れ〜も〜な〜。なんか本気らしいし。一応、忠告してやったけど…どうだかな〜、逆効果やったかも〜」
「隠さん、使えにゃーい」
「うっさいな! いっそのこと、協力さした方がよかったかなあ? う〜ん…そういや、あいつ本体何やろね?」

「ごめん、急ぐんだ!」
 僕は焦って、(メイクもろくに落とさずに)ライブハウスを後にする。帰ろうとする人たちの中から、見間違えるはずもない人影を探す。興奮の覚めやらない人たちの中で、やはり彼女は浮き立っていた。まっすぐ帰っていくようだ。
 …来てくれないかとも思ったけど、彼女はやっぱり来てくれた。いつにも増して辛そうではあったけど。
 ごめん、彩音…。
 僕は良心(?)が痛むのを感じながら、こっそり彼女の後を尾けた。
 我ながら、幼稚な手段だとは思う。そもそも僕はこういうことは得意ではない。そういうことに向いた能力を、持って生まれてこなかった。白金の鱗は夜は目立つから、空から見ることも出来ない。仕方がない方法だ。
 まあ、土曜の夜で人通りが多いことに助けられたのか、彼女が何か考え事をしていたのか、僕のあまりうまくない尾行はうまくいった。(ただ、通行人には怪しまれただろう)
 僕が訊かなかった彼女の家…地下鉄駅から歩いて5分くらいの、ごくありふれたマンション。僕が角の塀から覗いてみたところ、その入り口のところで誰か待っている。僕と同じくらいの(外見)年齢の、男のように見えた。
 そいつは帰ってくる彩音を見つけるなり近づいて、…手加減の様子もなく殴ったようだった。
「!!」
 当然の摂理で道路に転んだ彼女の髪をつかんで、そのままひきずっていく…。
「ごめんなさい…」
 彼女の声は、僕には聞こえる。誰も見ていなかった。僕以外には、多分。
 僕は、駆け出そうする衝動を押さえるのに必死だった。ここで僕が出て行っても、彼女がいる限り彼女に辛い思いをさせる、そのくらいはわかっている。
 だから、その先がどうなったのか、知ることができない。それだけ見ても、状況がすべてわかったわけではなかったが…。
 あいつは、彼女の光ではない。なのに何で一緒にいるのか?
「…畜生…!」
 僕は悔しさと、殺意めいたものまで感じながら、そこを立ち去るしかなかった。また方針を考えなければならない。あんな奴、彼女のそばにいてはならない…。
「ぼくはきみをまもる。ぼくがきみをよんだから。ぼくのちからはそのためにあるそのためだけに」
 煮え立つ想い…そう嫉妬ではないはず…を抱えて、僕は彼女のマンションに背を向ける。意味のない呟きは、僕にとっては唯一の意味だった。僕の存在の意味。
 電線にぶら下がった蝙蝠の視線には、気づく余裕もなく…。

 彩音は学生だと言っていた。だから、昼間は家にいないはずだ。
 僕は単純にそう思って、今度は日中に彼女のマンションに行ってみることにした。
『こーゆー事は、同類でないと片付けられへんさかいな』
 それは、つまり…僕には同類を見分ける能力はないけれど、その言葉が妙に引っかかっていた。彼女に関わる『同類』それは僕と、あの連中(?)と、そして彼女を害するモノ…だったら、あの夜に見たものは?
 そんな事を考えながら、歩いていく。そう言えば平日の昼間にしても、街はずいぶんと静まり返っているようだった。ヒトの気配がしない。まあ、今の僕にはどうでもいいことではある。
 僕の目的はひとつだから。
「…召喚主は僕が護る」
 足を止める。マンションから誰か出てきた。何だか、待っていたように。
 その顔は、どことなく僕に似ていなくもない。
「なるほどね。あの女がずいぶん興味を持ってたバンドのヴォーカルって、君のことか。似た奴を求めるなんて、あの女も物好きな」
「……」
 見た目は、ごく普通の人間だ。ただ口元に嫌な笑みを張りつかせただけの。
「ま、いいさ。誰にも邪魔はさせない…あの女は俺の獲物だ。同類にも渡せないね」
 獲物…!!
 奴は僕を『同類』と言った。どういうわけか僕の正体は見破られやすいらしい。そんなことはともかく、奴が『同類』なら、僕も人間である必要は、ない…。
「彩音に手を出すな。彼女を傷つけ続けるなら…僕が止める!」
「ふ、傷つけるだって? あの女が望んでることなんだよ、心のどこかでね。それを叶えてやってるだけさ。彩音は…傷つけられなきゃ感じないんだってさ。悦んでるんだよ」
 耳の奥で、不快な音がする…。
 奴は嫌な笑みを浮かべたまま、両手を広げて見せた。
「俺はあの女の隠れた欲望を知ってる。この姿も手に入れた。君は…何を知っているんだ? 嫉妬で俺を殺すのかい?」
 !!
 それは奴の挑発だったんだろう。でもそれに乗せられたのは、たぶん少なくとも事実であったからだろう…。
 都合のいいことに、ここにヒトがいない。僕は我慢できなくなった激情を、力にして解放する。
「だ…黙れェェェェェッ!!」
 人間の『殻』を破った僕は、白金の鱗のドラゴンに戻る。よくファンタジーに登場するドラゴンと外見はほとんど変わりない。額に炎のように光を揺らすルビーを持った、緋の眼の、約3メートルのドラゴン。
 太陽の光熱を統べるバハムート、それが僕の本性。もっとも、僕はまだ生まれてそんなにたつわけじゃない。もって生まれた力を使いこなすには、まだまだ経験が必要だろう。
 ともかく奴は、本来の姿になった僕を見ても気圧されなかったようだ。
「へえ、北海道にもドラゴンが住んでるんだな」
「彼女を傷つけ、その上穢したな! 許さない!」
「…ガキだね、まだ意思をはっきり持てないのか? 俺にも、存在の意味がある。誰かが望まなきゃ、俺は生まれてこなかった。ヒトのサディズムの証明…それが俺という存在だ。やってることは同じだろう? 存在の意味を求めてる。君も、俺も」
 僕は聞いていなかった。一緒にされたくなかった。
 本当は、わかっていたのかもしれない。
 紅炎(プロミネンス)を吸気と共に蓄える。これを使ったことは、まだない。そんな必要がなかったからだ。とはいえ、『普通』の存在なら一瞬で消し炭になってしまうはずだ。それは白の浄火。すべての穢れを、浄化するためにある…ケガレを…
 自分はそうじゃないのか?
 僕は心の隅のその声を振り切った。白の炎を打ち出して。

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