自主企画海外研修報告
「アメリカの市民自治と地域社会に果たすNPOの役割」

 

日程
○ロサンゼルス
15日(木)  視察調査 訪問先:南カルフォルニア交通権利擁護
                                  ロサンゼルス・ボランティアセンター(VCLA)
16日(金)  視察調査 訪問先:リトル東京サービスセンター(LTSC)  
○サンフランシスコ
19日(月)  視察調査 訪問先:コーマ市
20日(火)  視察調査 訪問先:ライズ(RIDES)
                                  都市圏交通委員会(MTC)
                                  プレシディオ連合
21日(水)  視察調査 訪問先:環境保護庁(EPA)サンフランシスコ地方局
                 東パロアルト市                            
22日(木)  視察調査 訪問先:北カリフォルニア・グラントメーカーズ 
                 日本文化コミュニティセンター                 
                                  サンフランシスコ市長室地域開発局
23日(金)  視察調査 訪問先:タイズセンター(TIDES)
                 サンフランシスコ図書館友の会
                                  ブロードムア警察保護地区

はじめに

(1)わが国におけるNPO活動について
 
 近年、阪神淡路大震災を契機として、わが国でもNPOやボランティアに対する関心が高まっており、
また、非営利市民セクターを社会の重要な構成部分として認め、市民の自発的な活動により、質の高い社会サービスの提供、
市民の精神的充実、社会の新しいコミュニティの形成などを次代の社会のあるべき姿を模索するという考えが有力になってきている。
 特に、「地方分権と市民参加」が今後の地域社会のキーワードになっていく時代の中で、多様な政策需要に対応していくためには
市民、団体、企業との協働の仕組みづくりが不可欠になっており、NPOがどのような役割を果たしていくかは非常に重要な課題である。
 これまで、公共的なサービスの担い手は主として行政であったが、今後は、行政では対応しきれないような個別のニーズへの対応、
行政の組織を横断する問題への解決、行政が技術上取り組むことが難しい課題への対処などについて、NPOの役割が期待されている
ほか、市民が必要とするサービスの供給は市民自身が行うという観点から、行政主導型社会から市民主導型社会への移行を促進する
組織的基盤となる役割も期待されている。
  国会においても、市民活動を行う団体が容易に法人格を取得できる制度として、特定非営利活動促進法(NPO法)が可決された。
法制化によりNPOは日本の中で制度的な位置づけがされ、市民活動が社会の一翼を担う基盤が作られることになる。公共的課題は、
公的セクター=行政で行うことが当然と考えられている現在の私たちの社会のあり方は、大きく見直しが迫られている。
    *Non Profit Organization 非営利活動組織の頭文字を取りこう呼ばれる。
   今盛んに議論になっているのは、狭義のNPO概念で、公益法人を規定した現在の法律では対象とならない営利を目的としない
   市民活動団体をいう。
   国会で可決されたNPO法はそれを法人化することを目的とする法律である。

(2)アメリカにおけるNPOの位置付け

 アメリカは,NPOが包括的な形で制度化されている国であり、NPOの設立は、わが国の公益法人の認可に比べれば格段に
容易となっている。
 また、団体の活動や団体への寄付行為に対し各種の税の優遇措置や特別の配慮(郵便料金が格安など)がなされている。
 その結果、NPOの活動分野は、保健医療、教育、社会福祉サービス、文化芸術、その他の慈善活動といった伝統的な社会サー
ビス領域から、消費者運動、環境保護、人権擁護、開発協力といった社会改革的な活動まで、きわめて多岐にわたっており、
こうしたNPOは全米で130万団体以上、経済規模でGDP比6.8%、雇用数(ボランティアを除く)930万人(全雇用人口比
6.7%)といわれ、NPOは、社会の諸問題に対応していく上で、大きな役割を果たしている。
 このように、アメリカ社会は、政府等の公的セクター(第1セクター)、企業等の営利セクター(第2セクター)、そして、
第3セクターといわれる非営利セクター(市民セクター)によって成り立つと言われるように、公益の増進に関する活動において
民間団体や個人の果たす役割は極めて大きい。

(3)研修の目的
 
  今後、より豊かな地域社会を築いて行くためには、市民活動がさらに発展し、市民の力が生かされる参加型の自由でいきいきと
した社会、市民の公益活動を支えるしくみや制度が必要であり、21世紀の北海道の創造に向けて、行政への市民参加のあり方や
NPO活動の支援方策などについて検討する上でアメリカの市民社会に学ぶことは多い。
 今回の研修では、コミュニティを通して活発な自治活動を行ってきたアメリカの中でも特にNPO活動が盛んなロサンゼルス及び
サンフランシスコにおけるNPOや行政機関などを訪問し、アメリカにおけるいろいろな分野のNPOが抱える課題とその解決策、
行政と市民の関係、NPOを広く支える市民の意識などについて、NPOの発展を制度・システムだけでなく、その根源にある
社会的要因や市民自治のあり方から観てみたいという問題意識から調査を行った。

 訪問は3つの分野で行った。
@市民に対する公益的な事業を行っているNPO
  南カルフォルニア交通権利擁護、ロサンゼルス・ボランティアセンター、リトル東京サービスセンター、
  ライズ、プレシディオ連合、日本文化コミュニティセンター、サンフ ランシスコ図書館友の会 

ANPO活動を組織的に支えているNPO・行政機関
 都市圏交通委員会、環境保護庁サンフランシスコ地方局、北カリフォルニア・グランド メーカーズ(助成財団連合会)、
  サンフランシスコ市長室地域開発局、タイズセンター

B自治政府・自治組織
 コーマ市、東パロアルト市、ブロードモア警察保護地区

 その結果については、次ページ以降に掲載した。