○ライズ(RIDES)   

 1977年にはじまった渋滞緩和と交通環境の改善を目的にしたNPO。
理事に広域行政機関、電話会社、自動車会社のメンバーも入っている。
  車を使わない運動を展開するとともに、相乗り希望者をデータベース化してマッチングさせ、相乗りを組織化する。
予算は年270万$。フリーダイヤルを持ち、専任職員は38人。
年間約4万人の問い合わせ、2万5000件のマッチリストをコンピュータシステムで作成。
過去15年間に36万人の通勤者を援助し、1600以上の相乗りを組織してきた。
これにより「ガソリン8700万ガロン(3億3000万リットル)を節約し、汚染物質4万2000トンの排出を防いできた」という。
  人口600万人といわれるサンフランシスコ圏の推定通勤人口は300万人。その内、一人で自動車に乗っているのが約64%、
公共交通は13%、カープール(相乗り)は17%。

 このシステムは以下のとおり行われる。
  相乗りを希望する者、相乗り車提供を希望する者が「マッチリスト」と呼ばれる用紙に出発地、行先、時間など必要事項を記入
する。これをコンピュータにインプットしデータベース化する。
 マッチングは、出発地(家)から1マイル周辺、目的地(会社など)は1/2マイル周辺を範囲にリスト化し、うまくマッチングしたら、
相乗りを希望する人と車を提供する人が連絡を取り合い、ガソリン代、車のメンテナンス料などを計算して支払額を決める。
うまく交渉が成立すればOK。

  ライズのもう一つの事業はコミュータチェック(通勤小切手)の発行。月60$まで無税の特典があるこのチェックを企業が購入し、
それを従業員が受け取って公共交通のパスや切符と交換するシステム。日本の通勤手当のような物だが、市場による公共交通への乗
換えを促進するという事業である。
  また、サンフランシスコ市との契約で、車を使わないで公共交通を使って空港へ行くための情報提供(SF2008)を行っている。
 ライドシェアリングプロジェクトは、もともと州交通局の事業を随意契約により行っていたが、4年前に州からMTCに移ってから競争入札が
導入され、4つの営利企業と競争しなければならなくなった。
幸い入札に勝って契約を取り、現在は5年契約中なので良いが、契約切れに向け競争入札の見直しを要望している。
 このようにNPOは、民間営利企業との競争の中で生き残らなければならないという厳しい現実もある。

○都市圏交通委員会(MTC、広域交通計画機関)

  1970年、州法で設立された、サンフランシスコ大都市圏(7,000平方マイル、9郡100市、人口600万人)の27の交通機関を
総合的に計画・調整する広域自治体機関。
市民自治を体現する小自治体が多数存在する一方、そうした細文化の弊害を防ぎ、交通などの広域的な問題に取り組むための組織。
  特に交通は広域的な計画が不可欠な分野で、MTCはサンフランシスコ圏全体の立場から効率的な交通システムの建設、運用をめざす。
 構成自治体(郡・市政府               )の市長・議員から選出された16人の委員(コミッショナー)からなる委員会が、圏域全体の
観点から交通計画、運営資金の確保、財政配分などを決定する。
  また、州交通局、市交通局、ハイウェイ局など公共機関の代表によるベイエリアパートナーシップという会議が設置されていて
意見調整を行う。
 同時に、連邦や州レベルよりは地域的な委員会の方が市民が参加しやすく、市民のニーズを把握しやすくするために、MTCには、
一般市民の参加システムとして、市民や、障害者関係、高齢者関係、マイノリティ関係、環境関係などの各種の小委員会や空港計画
委員会、港湾計画委員会などが設置され、毎月のように開催される会議は公開で、市民が参加し発言できる。
MTCの財政報告も行われている。
  年間9億$の予算があり3/4は使途が特定されているが、1/4は目的の範囲内でかなり自由に使える。
地下鉄の延長などの資金もその目的のためなら、かなり自由に使えるという。
こうした資金の中からRIDESや、公共交通機関の駅周辺の開発を行うCDC(コミュニティ開発NPO)などに助成し、共同で交通関係の事業
を行っている。
  現在、日本では運輸事業における規制緩和が進められようとしており、それに伴い地域交通のあり方や地域住民の交通手段の確保
の方法などについて議論がなされている。
地域交通のあり方については、その主体が地方自治体に移行することも考えられている。
 今後、地域交通のあり方や地方自治体による地域交通計画などを考えていくときに、市民参加により様々な立場からの多様な意見を
反映させる場の設定、自治体間の意見を調整しながら広域的観点で交通計画を策定する手法などは、分権と参加という視点からも参考となる。




○プレシディオ連合(国立公園開発支援活動)

 サンフランシスコの北端、有名なゴールデンゲート橋のつけね一帯の緑地を「プレジジディオ」といい、かつて軍事基地だっ
たが96年、国立公園局に移管されてゴールデンゲート国立リクリエーション地域になった。地域内には、800もの建物、プール、
などの軍の将校などが使っていた施設があり、とてもきれいに整備されているが、これをどう使用し公園として整備していくのかが
大きな課題となっている。
自然環境の特に優れている国立公園というより、都市内にある大規模なレクレーション公園という感じがする。 
 このプレジディオでは公園の運営を国立公園としてはじめて民間の力で運営していくという 実験的取組みが行われている。
  連邦法により「プレシディオ・トラスト」という政府法人が開発主体として設置された。

 プレジディオ連合は、こうした開発に対し、地域住民声が開発に反映され、環境保全が図られるよう、他のNPOや国立公園局などと
連携して、国立公園づくりに市民参加を促進する活動を行い、公園が整備されたときには、主として環境教育の分野を行うことになっている。
 当初はボランティア職員のみであったが96年に法人化され、寄付・補助金により有給職員を配置した。連合の事務所はプレシディオ地域内に
ある建物を国立公園局から5年契約で無償貸与されている。
 具体的な活動はこれからとのことだが、国立公園の民営化と、環境保全・市民参加をどう結び付けて成功させていくのか注目される
ところである。