○連邦環境保護庁(EPA)サンフランシスコ(第9)地方局

 環境保護庁は、職員1,8000人の内50%が全米10個所の地方局で働いており、サンフランシスコ地方局には1,000人が働いて
いる。
 今回のレクチャー全体をコーディネイトしてくれた国際課のデービッド・マウディ氏は、大学卒業時にEPA設立を知って迷わずこ
こに入ったという。州政府・自治体・NPOへの助成は地方事務所で行う。

@スーパーファンド課  
 スーパーファンドというのは、企業の費用負担による有害廃棄物処理地の汚染除去制度。1980年に成立した包括環境対処・補償
責任法(Conpregensive Environmental Respones, Compensation and Liability Act of 1980、通称スーパーファンド法)
で確立。
 その後、1986年、緊急計画地域知る権利法(Emergency Planning and Community Right-to-Know Act、スーパーファンド法
タイトルVに編入)が成立し、企業の扱う有害物質の情報開示が定められた。
 環境保護庁はこのデータをTRI(Toxic Release Inventory有毒物質調査)としてインターネット上で一般公開。
これを見て地域の住民が企業を監視し、汚染削減を働きかける。
 また、従来の摘発罰則型から補助的環境プロジェクト(FEP)、汚染者に罰則だけでなく、汚染者の選択で地域の為になるような
環境施策、例えば、湿地帯に戻すプロジェクトや、公園を作るとか、を行わせる施策を行っている。
そこに地域住民の参加を基にして、地域の利益になるようなものを作らせていく方向に進んでいる。
 スーパーファンド課では、主に、環境政策に市民参加がきちんと保証されるために、市民参加のガイドラインを示すだけでなく、
助成プログラムにより市民活動(NPO)に対し、助成やトレーニング、技術支援などの支援を行っている。

A環境公正課
 人種的なマイノリティ(黒人、アジア系住民)あるいは貧困層が住むところには環境汚染が集中しているという「環境差別」。
それを除去する環境分野の公正(justice)のための取組みを行っている。
  マイノリティや貧困層が住む地域の環境改善に取り組むNPOに対し財政支援などを行っている。
 この環境公正という考えは、人種差別を禁止した1969年の公民権法から導き出されている。
1994年、クリントンにより「環境公正に関する」大統領令が出された。
議会で法律が可決されなかったためだが、これによりすべての連邦政府機関は他の種々の法律に基づき、事業を行うに当たっては
マイノリティや貧困層への影響も含めた社会的な環境影響を調査するとともに、情報公開法などにより環境に関する政策や情報を
市民に公開しなければならない。
 また、環境公正に関する基本方針を策定し、情報公開と市民参加、省庁間の連携など進めることなどを定めている。
情報公開では、市民に理解し易く、また、英語が話せない人へのことばの配慮などが規定されている。
 市民参加では、計画の早い段階で、市民参加で物事を決めていく。そのためには、市民参加のガイドラインだけでなくてそれが
効果的におこなわれるよう財政支援、トレ−ニングや技術的な支援なども行っている。
 彼らの説明によれば、環境汚染防止の法律ができたが全米的な最低基準であり、各州で又上乗せ基準があるが、実際ロサンゼルス
の例でも、有色の人々や貧しい人たちが住んでいる地域に汚染が集中し環境問題が激しく、大きな被害を受けているという。

○東パロアルト市

 EPAからの説明を受けた後、実際に貧困者が多いサンフランシスコ郊外にある東パロアルト市に行き、有害物資の除去のプロジェク
トを視察後、環境保護庁の現地スタッフ、市や、そこで活動しているNPOの人たちと懇談した。
 市の環境担当者シェリー・ニグザット女史は異政府間人事法によるEPAから市へ出向している。
 シティ・マネージャーのジェリィ・グルーメス氏の話では、この市は、人口25,000人、15年前まで、ここには市が無く群が管理
していたが(アメリカでは、市民が投票で市を設立する)、自分たちで物事を決め、解決するために市を設立したという。
 スタンフォード大学の近くにありながら、低所得者が多いいわゆる「スラム」地域、こういう地域に有害廃棄物などが捨てられる
ことが多く、「環境差別」が問題になっている。
 有害汚染物質が地中に放置され開発されないままになっている地域をブラウンフィールド(茶色草原)と呼んでいるが、この地域
に対し汚染物質を除去するとともに、住民の意見を取り入れながら地域振興事業を取組んでいる環境改善プログラムが実施されてい
る。
 NPOは、この事業に積極的に関わり、市民の意見が反映されるよう取り組んでいる。また、低所得者が住宅を建設する時に、資金を
貸与したり、建築をボランティアで手伝うなどの支援をするNPO、企業組合と連携して職業訓練を行うNPOなど、様々な団体が
いろんな分野でこの地域の経済的開発を支援している。