山本博巳のHomePage 私の主張


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 NPO(民間非営利組織)について

1 NPO問題の背景
 
 NPOというと、ボランティアや福祉の事が良く出されますが、もちろん大きな関係があり、阪神淡路大震災における政府の限界、
ボランティア活動の威力が広範に理解されてきた事があります。
  しかし、これを社会の変化の中で考えていく事が必要です。
    第一に、公共課題が質的に変化してきた事です。
 公共課題・公共政策の3条件は、
@個人の解決能力を超える「問題領域」があること
A資源の集中効果を発揮できる「解決手法」を必要とする事
Bミニマムの政策・制度保証として「市民合意」が形成される事、とされていますが、最近の公共課題は、公共事業的なハード整備
や一律給付的なサービスだけでなく、福祉や教育、文化のような一人一人が違うニーズに対し、きめ細かい対応をしなければなら
ないような内容が大きな比重を占めるようになってきている事です。
 つまり、@ではあるが、A資源の集中といってもマンパワーや、人の感性が中心になるものが増え、政府組織でなくても対応が
可能、むしろ政府組織が行うサービスでは、ニーズに応えられない、という問題領域が拡大し、Bミニマムの政策・制度保証の中
にも政府組織が行う事に対する「市民合意」が崩れてきているものがあることです。
 求められる社会サービスの内容と質が変化している中で、公共政策の内容・質だけでなく、その政策主体自体の変化が求められ
てきているのです。
 第二には、混合経済を中心とした福祉国家の終焉の中で、ポスト福祉国家における経済政策・社会政策が求められている事です。
 一方では、福祉国家の下、国家の介入による経済の停滞と、政府政策の拡大による財政破綻による、サッチャーイズム・レーガ
ノミクスなど、新自由主義の台頭があります。
 これにより、規制緩和、行財政改革の名による経済への国家介入の排除、政府サービス、政府政策の縮小が行われ、結果的に非
政府セクターによる公共サービスの提供が拡大してきた事です。
  これは、本来政府セクターが行うべき政府政策を極めて限定的に考え、大部分を市場原理に基づく非政府セクターに行わせるこ
とにより、社会の活力を引き出そう考え方になり、ボランティアを行政の下請け化してしまう恐れがあります。
 しかし、もう一方は、これら非政府セクターを、社会の対等な部分としてみとめ、市民の自発的な活動を通じて、質の高い社会
サービスの提供、市民の精神的充実、社会の新しいコミュニティの形成などを次代の社会の方向として考え、非営利の民間組織を
その重要なファクターとして捉える考えが出てきています。 
  NPOはそうした社会の流れの中で、制度的な位置づけを確立する必要があると認識されてきたのです。

2 NPOの定義

  NPOという横文字ことば、その直訳である民間非営利組織という単語がわかりにくいという意見もあります。
  そこで、「営利目的ではない市民組織」と呼んではどうでしょう。これもあまり、わかりやすくないかもしれません。
 もっともこの言葉が広く普及して、「NHK」みたいになれば解決するのでしょうが、問題は、定義、使われ方、イメージが人に
よってバラバラな場合が多い事です。
 私は、NPOとは、様々な使われ方をしていますが、最大公約数的には、以下の特徴を有する組織であると考えています。
@非営利性:利潤をあげる事を目的にしないこと。
   利潤をあげる事を目的にしない事とは、収益を上げる活動を行わない事ではない。
  問題は収益を組織の所有者・構成員に分配しないで、本来の活動目的にすることである。
   例えば、福祉活動のためバザーや、パーティを行って利益を上げる事はある。
   しかし、それに要したコスト以外は、その組織が目的にしている福祉活動のために使う事で、利益を役員や、出資者に分配す
 る営利組織とは区別される。
A非政府性:民間の組織である事。
  公的組織から資金的な援助を受けていたり、公的な人 間が組織に入っていても良いが、制度的に政府組織から独立し、組織の
 統制を受けていない事。
B自発性:自発的な意志、自発的運営、自発的参加形態を持った組織であること。
C自立性:組織の管理・統治が、他の組織の影響下にあるのではなく、自らの組織の力で行われていること。
D継続性:一時的な集まりではなく、継続して活動する事。法人格を有している事とは限らない。
 論者によると、これに、公益性(公共の利益、不特定多数の他者のために活動する事)、非党派性(特定のイデオロギーや宗教
の普及を目的にする政治団体・宗教団体などを除す)を加える人もいるが、私としては、もっとも広義の意味として入れていません。
  また、政府セクター(第1セクター)、民間営利セクター(第2セクター)と区別して、第3セクターといわれるが、日本で私たち
が使っている第3セクター(政府や自治体が民間と資金を出し合って設立した組織)とは違います。

3 日本におけるNPOの制度的位置づけ

 今日、私たちの社会生活は、個々の人間だけが社会単位となって活動するだけでは不十分であり、各種の組織を作り、それを通じ
て、あるいはそれとの関係により、成り立っています。
 日本では憲法により結社の自由が認められていますが、法人法定主義を採用しているので、結成された組織は、一定の法律に基づい
て法人格を得ることになります。
 しかし、営利組織は、株式会社などを設立し、登記するだけで設立できますが、非営利組織の場合、宗教法人、学校法人など、法
律に基づくほかは、民法34条の規定による公益法人しか設立できません。(「みなし法人」というものも一部ありますが。)
 しかも、所管官庁の認可が必要で、手続きも大変です。
つまり営利を目的にしないが、公益的な活動をしていない団体は、法人格を得る事はできませんし、公益的活動をしている団体も、法
人設立は容易ではないというわけです。
 法人格を得られない事の問題点はたくさんありますが、一番大きな問題は、財産の所有の問題です。
 ある活動をしている組織が、段々大きくなり事務所を持つ事になった場合など、今の制度では、誰か個人の名義にしなくてはならず、
個人財産への課税、所有権の移転などで、個人への負担が大きくなったりします。
 また、公益的な活動については、公的組織(行政・公益法人)と民間組織が担っていますが、同じ活動をしていても公益法人には税の
優遇措置がありますが、民間の組織はそれを受ける事ができません。
 社会的に貢献する活動をしていても、営利企業と同じように税金を取られてしまう状況にあります。
  また、これらの組織は、市民からの寄付などを主な財源としており、その財政的基盤は、組織により異なるとはいえ、総じて弱い状況です。
  今、国会に出されているNPOに関する法律は、こうした状況に置かれている民間組織に、法的根拠を与えようとするものですが、
それが、果たして、NPOの課題に応えるものになるかは、これからの国会審議によるものと考えられます。

4 NPO法案(正確には、「市民活動促進法案」)の特徴と問題点

(1) 現在、参議院の内閣委員会に付託されているこの法案の特徴
 @以下の12の公益的活動を目的とする団体に対し、「市民活動法人」として法人格を認めることしたこと。
      ・保健・医療または福祉の増進
      ・社会教育の推進
      ・まちづくりの推進
      ・文化、芸術またはスポーツの振興
      ・環境の保全
      ・災害時の救援
      ・地域安全
      ・人権擁護または世界平和の推進
      ・国際協力
      ・男女共同参画社会の形成促進
      ・子どもの健全育成
      ・前号の活動する団体の運営または活動に関する連絡・助言または援助
  A市民活動法人について、法人税法、租税特別措置法、消費税法、地価税法、地方税法の一部について、公益法人等として扱うこととしたこと。
  以上の事で、上記の公益的活動を行うNPOは、法人格を得て活動する事ができ、一定の税の優遇措置を受ける事ができるようになります。
 この点では、一定の前進があり、評価できます。
                      
(2) 法案の問題点
 @法人格を認める対象を、公益的活動を行う非営利組織に限定している事
   営利を目的にしない活動には、公益的活動(他者の利益のための活動)と、共益的活動(組織内の構成員のための活動)があり、共益的活動をしている組織にも法人格が無 いために、活動に大きな制約を受けている実態があります。
  共益的活動を行う組織の内、共済組合・生協・農協などは協同組合法などにより法的に認められていますが、個人の、新しい働き方の形態として活動している「ワーカーズ ・コレクティブ」や、小規模な互助的組織などはこの法律の対象外で、法人化の道が閉 ざされたままになっています。

 A公益的活動の内容を限定している事
    上記の12の活動を法律の対象としている事により、公益的活動をしていても12の中に入らない活動は対象外になってしまう事です。
  社会が複雑化すれば市民の活動も多岐にわたります。法律を拡大解釈するとしても、そこからはみ出る活動が出てきてしまいます。
  まして、認証を所管の官庁が行う事になっており、役所の考えでは限定的に解釈されてしまう恐れがあります。

 B寄付についての税の優遇措置が無いこと
    欧米では、非営利組織への寄付については、所得控除の対象にするなど、企業や個人が団体に寄付しやすい制度にしていますが、
  この法律では、こうした税の特例措置は取られていません。

5 これからの課題〜NPO法の成立に伴う自治体の役割

     NPO法案によれば、法人の所轄庁は、その事務所の所在地を管轄する知事ですから、道は、認証事務を行う事になります。
  この事務をどこが、どのように行うのかをきめなければなりませんが、同時に、行政として、非営利組織とどう関わっていく
  のかを研究しなくてはなりません。
  これは、単に法律ができたからではなく、元々、行政が市民セクターとの対等なパートナーシップを形成しなくてはならない
  という社会的要請があり、その法的根拠が構築されたと考えるべきです。
    すでに、欧米や日本の一部では、市民がNPO組織を通じて様々な公共的事業に参加してきています。
   NPOを行政の下請け化するのではなく、公共サービスの多様な供給形態として、市民の公共政策への参加として位置づけ、
  行政は、何を行い、何を行うべきでないのか。市民参加と市民の代表機関である議会との関係をどう整理するのか。
   私は、まず、活動目的12の「活動する団体の運営または活動に関する連絡・助言または援助」を目的とするNPOを北海道に創
 っていく事に力を注ぐべきではないかと思います。
   その場合、行政主導ではなく、市民と対等な関係で(これが難しいのですが、) 行う事により、新しい経験と、新しいパート
 ナーシップの形態が生まれると思うのです。
   現在、道のプロジェクトチームで検討が行われていますが、担当セクションを型どうり決めてしまうのではなく、事業も公募併
 任型にし、やる気がある各セクションの人を公募し、権限を持たせ、短期サイクルで異動させないなど、行政組織の新しい試みと
 して取り組んではどうでしょう。
   また、市民組織と一緒に取り組む分野、市民組織が担う分野の検討も行う必要があります。
 これは、今の行政の状況では難問ですが、市民に身近な分野から考えることにし、道だけでなく、市町村との研究を進めていく必要
 があります。

以上です。まだ、不十分な内容ですが、皆さんのアドバイスをお願いします。


私の働いているところは、北海道庁です。
そのホームページは、http://www.pref.hokkaido.jpです。

それに関連する情報は、次の方のホームページをお勧めします。

北海道政策室 伊藤満さんのホームページ
http://www.infosnow.or.jp/~itoman/

北海道総務部道庁周辺地区整備室 渡辺克生さんのホームページ
http://www.home.highway.or.jp/tennis/


懲りずに読んでね! では。