2006年4月施行された高齢者虐待防止法に、当初の与党案には盛り込まれていなかった虐待通報者への
保護規定が加わったのは、ルミエール虐待事件で内部告発者が経営者から報復措置として訴えられる、
という事実があったからです。
注目すべき、元・施設長への尋問
今年6月の札幌地裁判決は、組合が内部告発した5件の虐待事件を全て事実認定したほか、
札幌市による改善命令(04年12月)以降もルミエールでは虐待や不適切介護が続いていたことを事実認定し
、公和会・長沼政幸理事長による内部告発者や札幌地域労組、北海道新聞社への損害賠償請求を全て棄却し
ました。しかし、長沼シズ子施設長が内部告発者である多田、坂本両名を罵倒したり、職場ぐるみの村八分
を煽ったことへの慰謝料請求(反訴)については「(多田、坂本両名の)精神的苦痛は、受忍限度を超える
程ではない」として、反訴請求を棄却しました。
この判決について、ルミエール側は「意外な判決」として判決翌日に控訴しました。それを受け、多田、
坂本両名も施設側によるいじめについての慰謝料請求を認めて欲しいと控訴しました。
12月19日、札幌高裁で開かれた第二回口頭弁論で、組合側は内部告発者である多田、坂本両名への本人尋問と、
虐待事件が明るみになった当時(04年8月)の施設長である長沼シズ子氏(05年12月退任)への証人尋問を申請し、
裁判長はこれを認めました。これによって、多田、坂本両名が、一審では語り尽くせなかった「施設側からどん
な仕打ちを受けたか」について証言します。そして、当時の長沼施設長は介護現場からの虐待の報告(職員6名が
それぞれ目撃した入所者暴行の事実)を把握した後どのように行動したのか、さらにどういうプロセスで、多田、
坂本両名が言う虐待事件を「ウソだ」と断定し、裁判で訴えることに至ったのかが高裁の尋問で解き明かされます。
現在も続く、虐待否定の経営姿勢
長沼政幸理事長は、現在も虐待の事実一切を否定し続け、内部告発者に対する一連の弾圧も「正当な行為」
として開き直っています。このような経営姿勢は、04年12月の札幌市による改善命令の後も、虐待や不適切介護が
続く事態を生みました。最近、ルミエールは組合の強い反対を押し切って、原則1年とされる派遣労働者の受け入
れ期間を3年に延長する手続きを強行しました。虐待事件の真相究明は放棄したまま、その一方で、職員を使い捨
て型雇用で、かつ、安く使うことには心血を注ぐルミエールです。このようなルミエールの経営体質を、行政がど
こまで黙認するのか問われています。