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エッセイバックナンバー一覧

水無月慧子の冗漫なエッセイ

「その9 お前はモーゼの十戒かあ!!」 プロバイダーさんから借りてるアクセスカウンター

なぜ、水無月がホームページ作成ソフトを使わず、HTMLにこだわるのか?

さかのぼれば、なぜ、水無月がパソコンを買ったのか、というところまで行きます。

水無月が初めてパソコンなるものを手に入れたのは、今から12年ばかり前。

OSはWindows95。ブラウザはネットスケープ・ナビゲーター2.0バージョン。ノート型。

これを使って、水無月が何をしたかったかというと、ネットサーフィンとホームページの作成・公開。

ホームページ作成ソフトについては、実は下調べをしていませんでした。インターネットカフェで見たさまざまなホームページに目を奪われ、自分もクールなホームページをつくってみたい。その思いばかりが先行して、そもそもホームページってどうやってつくるの? ということを深く考えていませんでした。お恥ずかしい。

パソコンの下見と同時に、水無月の目にとまったのは、一冊の小振りな本。表紙が、いしいひさいち氏のユーモラスな絵で飾られていました。手にとってめくってみると、オールカラーでどうやらホームページ作成ソフトの使い方を説明してある感じ。なるほど、本の見返しに、CD−ROMが添付されていました。これを使えば、カンタンに(と思ってしまったのは、ひとえに、いしいひさいち氏のあのほのぼのとしたコミカルなイラストのためだと考えます。けっして、いしいひさいち氏のせいにしているのではありません。しいて言うなら、あの本の表紙イラストにいしいひさいち氏を起用した出版社だかソフト製作会社だかの作戦にはまってしまったというべきでしょうか。……っていうか、実のところ、自分の勉強不足なわけよ)ホームページは出来る! と錯覚してしまったのでした。

念願のパソコンと問題のホームページ作成ソフトを手に入れた水無月、早速ホームページ作りに入りました。構想は練ってあったので、あとは本を見ながらワープロを打つ要領で、小説やエッセイを入力、それらしくレイアウトして、いい感じに出来上がりました。

上機嫌でプロバイダーさんからFTPソフトをダウンロードして、アップロード。初のホームページがインターネット上にデビュー! いったい、どれくらいの方々が遊びに来てくださるのでしょうか? そうそう、アクセスカウンターを取り付けないと。プロバイダーさんが当時500円ぐらいで売ってくれるというので、その準備をしている最中、パソコンにインストールされていたワープロソフト「一太郎」がバージョンアップすることになり、その案内がきました。それじゃあ、と新しいバージョンを購入すると、おまけとして、ネットスケープナビゲーター3.0バージョンがついてきたので、それもアップデート。

さあて、アクセスカウンターを買う前に、トップページのどこにつけようかなあと考えながら、自分のホームページにアクセスして、思わず、「げっ」とお下品な声が出てしまいました。

一行目の22文字目と23文字目の間に、なぜか1文字ぶん、スペースが入っている。しかもそれは、1行目だけでなく、2行目、3行目……最終行まで続いているではないですか! つまり、ちょうど画面の真ん中に一本の白い道が通っている状態。

「お前はモーゼかあ!!」

思わず叫んで、迷わず、いしいひさいち氏のイラストが描かれた本の「質問コーナー」へ電話をしました! その頃は、まだホームページをつくっているひとが今ほど多くなかったせいか、すぐに電話はつながり、係の男性が出ました。

「ネットスケープナビゲーター2.0バージョンで確認しながらつくったんですけどね、ネスケを3.0バージョンにアップした途端、モーゼ状態なんですけど! ちょっと、これから言うURLを確認してみてください!」

ただちに、確認作業をしてくださった係のかたでしたが、「あれー。うーん……たしかに……いやあ……あれー? ……うーん、すみません。明日こちらからお電話しますので」とアタフタと電話をお切りになっちゃった。

で、翌日。

昨日の係の男性からちゃんとお電話がきました。昨日とは打って変わったキッパリとした口調。

「こちらでも改めてネスケの3.0で動作確認しました。ダメですね」

「ダメって……つまり、このソフト、使えないってことですか?」

「そういうことになりますね」

「え゛ーっ! 今現在もパソコンショップで山積みになって売られているのに?」

「ただちに回収します」

か、回収するのはいいけどさ、水無月はどうなるの? 実質2〜3日しかこのソフトの恩恵によくしてないんだよ。この先、どうやってホームページ作れって言うんだあ! 代金返せーっと怒鳴りたいのをこらえて、電話を切りました。ま、向こうもまさかこんなことになるなんて想像だにしていなかったようだし、あんなに一杯売り物にならない状態になってしまったんだから、気の毒ではあるもんねー。

それにしても困ったなあ。他のホームページ作成ソフト買ったって、ブラウザがバージョンアップしたら、またレイアウトが崩れたり、予期せぬ不具合が生じる可能性あるし……。

そんなことを考えながら、ある日本屋さんで時間を潰していた水無月の目にとまった1冊の本。「HTMLでつくるホームページ。ウインドウズ付属のメモ帳があれば、特別なソフトは必要なし!」というような文句が踊っていました。

へえー、と思いながら、よくわからないまま、その本を買い求め、一読。

だまされたと思って本の例に従ってパソコンに入力してみると、おお、確かに、飾り気はないけどホームページが出来るではないですか!

そうかそうか、HTMLという「万能」のものさえ覚えれば、ブラウザのバージョンアップもOSの進歩も関係なく「永久」に思い通りのホームページをつくれるのだ! ……とまあ、そう思ってしまったのですね。

思い込みの激しいところが水無月の欠点その1といったところでしょうか。
このとき自分のものにした、と思いこんだ「HTML」が、12年後に後継の「XHTML」なるものの出現によって、面倒な事態を引き起こすとは思いも寄らず、鼻歌で空気を乱しつつ、勢い込んでホームページをつくっていた、水無月なのでした。


(2009/3/15/Sun.)
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