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エッセイバックナンバー一覧

水無月慧子の冗漫なエッセイ

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「その26 返事をよこせーっ!!(鰻屋さん編)

家族に病人が出ました。

食事を少ししか食べてくれないので、体重はどんどん減っていくばかり。病人本人もこれではいけない、と思っているようですが、病気になってから味覚が変わったのか、あれも食べられない、これも欲しくない、と言います。
それじゃ、なにか食べたいものはないかと聞くと「ウナギを食べたい」と言う。
早速デパートに蒲焼きを買いに行こうとすると「デパートのは駄目。骨が太くて喉に刺さるから。ちゃんとした鰻屋さんの鰻重が食べたい」。
そんなら、鰻専門店から出前してもらうしかないなーと、我が家の近くに鰻専門店はないものかタウンページにインターネットにと探してみました。すると、一軒、わりと近い場所に良さそうな店が見つかりました。

そこのホームページを拝読すると、出来たてをお客さんに提供するというのが、店主さんの信条のようです。お客さんの注文を受けてから調理するそうで、出来上がりに30分近くかかるとか。職人さんの矜持が感じられ、きっと美味しい鰻重が食べられるだろうと思いました。
でも、困ったなあ。ホームページに記された言葉を見れば、99パーセント、出前はダメだろうなあと、しばしプリントアウトしたお店のホームページと睨めっこ。電話してお聞きしてみようかな。でも、「出前をとりたいなら他の店をあたってくれ! ガチャン!」と一喝されそうで怖い。

……あ、メルアドが乗ってるじゃん。メールで問い合わせてみようかな。お店から「出前はしていません」と、きっぱりお返事をいただければ、諦めもつくというものです。

本名出すのは恥ずかしいので「匿名希望」と名乗って質問メールをお送りしました。――それから20日間経ったのですが、今も返信が来ません。勘に障ったのかな、私のメール。丁寧にお尋ねしたつもりなんだけど。
かくれた味の穴場として、マスコミに何回か紹介されているお店ということで、忙しいのだろうか。

いや、もしや「出前」なんて宅配ピザと勘違いしてるんじゃねえかこの匿名希望の奴――なんて店員さんの間で回し読みされて嘲笑されていたりして。

それにしても、そもそも、昔から、出前って日本の食文化の中に厳然と存在してますよね。お寿司、ラーメン、お蕎麦、かつ丼、そして鰻重の出前だってありましたよね? 「ウチはそういう店ではないのだ」と言うなら、そう書いたメールを送ってくれればいいじゃないか。「無視」というやりかたはイメージ悪いぞ。お客がどんな馬鹿げた質問を送ってきても、丁寧に対処したほうがいいと思うけど。

それとも、なにか? 悪いのは私のほうか? メールに「ウチにかくかくしかじかの病人がいて、お宅の鰻重を食べたがっているのですが、お店まで行けないんです。なんとか出前していただけないでしょうか?」と最初に書けば、お店のほうでも考えてくれたのかな?

でも、病人がかいるとか、容態とか、そんなの個人情報ですからね。初めてのお店にウチの内情知られたくないし。

いったい、出前は可能なのかどうか。私のメールに腹が立ったか、プライドを傷つけられたとお感じになられたのかはわからないが、メルアド乗せている以上、メールに返信しないというのは、礼を失する行為ではないか。出前よりなにより、それが一番頭にくる。

返事を寄越せーっ!!



※なお、病人は、私が上記鰻専門店の件でカッカしているあいだに全快してしまいました。

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