ヘリウムと音の不思議


−音について考えてみよう!−


稚内市立潮見が丘中学校  菊 池 直 樹





写真をクリックすると大きくなります 《はじめに》
 深い海をもぐるときに使う人工空気のボンベの中には、酸素といっしょにヘリウムが入っています。なぜふつうの空気をつめたり、酸素だけをつめたりしないかというと、海の中では大きな水圧がはたらいているため、窒素酔いや酸素中毒などの高圧神経症候群という病気になってしまうからです。ところで、このヘリウムの入った人工空気をすいこんで話をすると、その声が高くなってしまいます。映画「グラン・ブルー」の1シーンにも使われていますが、なぜなのでしょう。







《しくみついての考えかた》

 まず、音のことを考えてみます。
 音は簡単にいうと空気の振動です。そして、
音の高さは空気が1秒間に何回振動したかで
きまります。この1秒間に何回振動したかと
いうことを「振動数」といいます。ですから
高い音は振動数が多く(空気がたくさん振動
している)、低い音は振動数が少ない(空気
が少ししか振動していない)ことになります。
下の図だと、牛さんよりも羊さんの方が音が
高いことになります。


 この図のように音を波のように考えたとき、
一つの波の大きさを「波長」といいます。
 では、ヘリウムで音を出すと、なぜ音の高さ
が高くなるのでしょうか。それは、音の伝わる
速さが原因なのです。音は空気の中では1秒間
に約330m(約330m/秒)の速さで進み
ますが、ヘリウムの中では1秒間に約970m
(約970m/秒)の速さで伝わります。ヘリ
ウムの方が空気よりも3倍の速さで音が伝わる
のです。また、音が出ているものが気体を振動
させる大きさ(波長)は、空気の中でもヘリウ
ムの中でも変わりません。しかし、下の図のよ
うにヘリウムの方が音の伝わり方が速いため、
結果的に振動数が大きくなります。このため、
ヘリウムでは音の高さが高くなるのです。




《もっと知りたい人へ》
1 都筑卓司・宮本正太郎・飯田睦治郎 著
 「物理質問箱」講談社ブルーバックス 1976年

2 藤井 清・中込八郎 著
 「物理現象を読む」講談社ブルーバックス 1978年

3 広見直明&Quark編著
 「科学・おもしろ質問箱」講談社ブルーバックス 1992年