物理IA授業実践報告

1学期期末考査試験範囲 運動分野


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実践概略

 物体の運動について、日常生活と関連させ、主に直線上の運動を通して、運動の表わし方、摩擦、運動量の保存などを理解させることがねらいである。従来の物理学では、導入の際必ず学習する分野であり、旧課程の理科Iでも必修分野であったが、物理IAからは選択分野になった。現実的に計算の複雑さから、この分野を非常に苦手とする生徒も多いので、計算などは簡素化し、興味関心を高めるように生徒実験を数多く取り入れて実施した。体育館で自作のホバークラフトに乗せ慣性の法則を体感させたり、自作のエアトラックで等加速度運動の様子を測定したり、様々な運動現象を体験することで運動の概念を養うことに指導の重点を置いた。最後の時間にはまとめとして、毛利さんがおこなったスペースシャトルの無重力実験のビデオをクイズ形式で見せ、地上とは異なるその運動の不思議さを考えてみた。重力加速度も9.8などの小数は使わず、10として、また0.1kg重を1Nとして、小数の計算によるわずらわしさを省き、運動に対し直感がはたらくように指導面で工夫した。

【授業報告】


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裏読物とは授業プリントの裏面に刷ってある読み物です。
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 1:運動分野ガイダンス
 2:等速直線運動
 3:等加速度運動
 4:慣性・摩擦力
 5:運動方程式
 6:自由落下
 7:水平投射
 8:運動量と力積
 9:力学的エネルギー
 10:無重力、毛利さんのビデオ
 11:1学期期末考査








 

《第1回:運動分野ガイダンス》

(裏読物:記録タイマーのしくみ)


上下どちらの糸を切る?





授業内容
1.講義:この分野で何を学習するのか
2.講義:大きさだけ」と「大きさと向きを持つもの(ベクトル)」の違い
3.講義:変位と移動距離の違い
4.講義:平均の速さと瞬間の速さ(時速から秒速への変換)
5.演示:瞬間の速さの測定:記録タイマーを使った落下実験
6.講義:記録紙をはってV−tグラフで囲まれた面積=移動距離
7.演示:ハンマーの上下に糸をつなぐ・・・下の糸だけを切るには?(慣性)

教諭コメント

 記録紙のはりつけは準備しておきました。どこの学校でも同じだと思いますが時速から秒速への変換が難しかったです。72km/時=20m/秒になり、「えっそんなに速いの?」は素直な生徒のリアクションです。スカラーという言葉はやっていません。記録タイマーは3台しかないので、演示実験で対応しました。

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《第2回 等速直線運動》

:(裏読物:速さ比べ(動物・機械))

大型エアテーブルでホッケー




授業内容
1.講義:速さと速度の違い(ベクトルの復習)
2.ビデオ:「スターウォーズ」での宇宙船の追い越しを見て、相対運動を知る
3.講義:相対速度(1次元)とは?
4.実験:大型エアテーブル上でのパックの運動を観察
手を離したら等速運動になることから、はたらいる力0を推定
5.?:ホッケーゲーム大会(各班対抗)

教師コメント

 大型エアテーブルは、畳1枚分の広さです。自作するのに1日いっぱいかかってしまいました。ホッケーゲーム大会は異様に盛り上がります。運動方向への力0=等速直線運動だけを強調しました。合力0は次回の慣性の法則で扱います。スターウォーズのビデオは相対速度の導入にもってこいだと思いますが。最近はファミコンも3D(ロールプレイング等)なので、生徒の方の感覚が鋭いかもしれません。

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《第3回 等加速度運動》

(裏読物:エアトラック・エアテーブル)

自作エアトラックで加速度の測定




授業内容
1.講義:加速度の定義と練習問題
2.実習:例題の等加速度運動をグラフに書く
3.実習:面積=移動距離の計算
4.実験:自作エアトラックを使ってs・tの実測
グラフ化してv-tグラフへ変換



教師コメント
自作でエアトラックも作ってしまいました。教科書にはカーテンレールの上を球を転がしてs−tグラフを書くようになっていますが、剛体の回転があるせいか、いい等加速度にはなりません。ストップウオッチをにぎりしめて、1秒ごとの移動する位置をフィルムケースで置いていきます。s-tグラフから各秒の瞬間の速度は接線になることを考えさせてv-tへ。それから面積と移動距離が等しいことで完結です。

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《第4回 慣性・摩擦力》

(裏読物:サーキットの摩擦係数)

いすにのって綱引き





授業内容
1.演示:だるま落しを見て、止まり続けるものの例を答える
2.講義:慣性の法則の定義(合力0を強調)
3.演示:ホバークラフトに乗車して、急に止まれないものの例を答える
4.演示:いすにのった綱引き・2台の力学台車(ひとつだけバネ)
5.講義:作用反作用の定義から垂直抗力へ
6.演示:テイッシュ箱を引くと、どの面が一番摩擦力が大きいか=皆同じ
7.講義:摩擦力=摩擦係数×垂直抗力と最大静止摩擦力>動摩擦力
教師コメント
 ホバークラフトは自作のものを使い、廊下で実施しました。摩擦力と圧力を混同している生徒が大変多いようです。静止しているときは摩擦力=引く力というのも、生徒の経験と一致しません。摩擦力の授業は運動方程式が終わってから実施したのほうがいいのかもしれません。慣性の法則は、割ったビール瓶の上に寝る、という究極の演示実験がありますが、ちょっとびびってしまいやっていません。この話をしたら「やって、やって」と生徒の大合唱。リクエストには答えませんでした。

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《第5回 運動方程式》

(裏読物:海王星の発見)

台車を使って加速度と質量の関係を調べる




授業内容
1.実験:力学台車をゴムで引く(同じ長さ=同じ力)・・・段々速くなる
2.実験:びー玉を指につくように転がし続ける・・・段々速くなる
3.実験:100gの重りを落して力学台車1台が1m走る時間の測定
・・・v−tグラフから加速度の計算
4.実験:200gの重りを落して力学台車1台が1m走る時間の測定
・・・v−tグラフから加速度の計算
5.実験:100gの重りを落して力学台車2台が1m走る時間の測定
・・・v−tグラフから加速度の計算
6.講義:加えた力・質量・加速度の関係の整理から運動方程式へ
7.講義:1Nの定義・練習問題
教師コメント
 ゴムの長さを一定にするように台車を引くというのは、相当な技量が必要です。どの教科書にものっている有名な実験ですが、実験台の上では無理です。そこで廊下を使ってやりました。これくらい長いと実感できます。それよりもビー玉の方が力を加え続ける=ドンドン速くなるがわかります。記録タイマーが少ないものですから、v−tの三角形の面積=1m、v−tの横軸=測定秒から高さの速度を計算し、速度÷測定秒で加速度を算出しています。

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《第6回 自由落下》

(裏読物:バンジージャンプの中の物理法則)

実際に落として時間を測る





授業内容
1.実験:ビー玉が1m落ちる時間の測定・・加速度の計算
2.実験:ビー玉が2m落ちる時間の測定・・加速度の計算
3.実験:ビー玉が3m落ちる時間の測定・・加速度の計算 すべて同じ
4. 講義:重力による物体の加速度
5. 実習:実験結果をv−tグラフに書いて、各秒ごとの落下距離の計算
6.実験:反射神経テスト(定規の落下)
7.ビデオ:所さんの目がテン・・雨滴の落下(ドーム型で落ちる)
8.演示:真空落下装置の後、ガリレオの落体実験の話


教師コメント
 落下実験は教科書を見ると時計付ボールを2・3・4階から落す、となっていますが、教材屋さんに聞いてみると、もう売っていないようです。そこで実測にしました。予想に反して、重力加速度9.8は計算からもとまるものです。高さ3mはちょうど天井の高さでした。雨滴の落下はビデオで見ましたが、空気抵抗でドーム型で落ちていくことを、私自身始めて知りました。

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《第7回 水平投射》

(裏読物:モンキーハンティング)

放物運動すだれを作る





授業内容
1.演示:水滴の斜方投射にストロボ(同調が難しい)
2.ビデオ:水平投射のストロボ撮影=横に等間隔
3.練習問題
4.実習:放物運動すだれの作成(0.02秒ごと)
5.講義:モンキーハンテイング=同じだけ落ちる、斜めでも同じ
6.実験:モンキーハンティング
(ゴムのパチンコで羽付フィルムケース+糸でつるした空き缶)
教師コメント
 水滴のストロボは教壇にセットしておきました。必ず水滴の間に手をつっこむ生徒はいるものです。低周波発信器の同調をずらすとさかのぼりもOKです。すだれは紙テープと画びょう・釘で作ります。モンキーは左手にパチンコ、右手に羽根付フィルムケースと糸を持って、飛ばすと同時に遠くの空き缶が落ちるしくみになっています。準備も簡単です。

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《第8回 運動量と力積》

(裏読物:水ロケットのしくみ)

長いストローと短いストロー、どちらが飛ぶ?





授業内容
1.演示:力学台車1台と1台・1台と2台・1台と3台 どれが一番遠くへ?
2.ビデオ:空気ロケットと水ロケット
3.講義:運動量の定義・運動量の保存(外力=0の場合を強調)
4.演示:椅子への飛び乗り(重い生徒と軽い生徒)
5.実験:5枚の10円玉の衝突(1つで1つ出る)
6.実験:卵のキャッチボール 割るなよ
7.実験:長いふきやと短いふきやでメンボウをとばす
8.講義:力積の定義・運動量の変化=力積・・・練習問題(キャッチャーがうける力)

教師コメント
 卵のキャッチボールで割ったのは2個でした。生徒達は水ロケットに大変興味があります。昨年学校祭の理科展でやったのでみんなおぼえていました。その授業のあった日の昼休みに校庭でうちあげ大会。これも大変盛り上がりました。

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《第9回 力学的エネルギー》


万有引力の位置エネルギー

振り子はどこまで上がる?





授業内容
1.講義:仕事の定義・エネルギーの定義
2.ビデオ:金属球を落下→せんたくのりにどこまで沈むか
3.講義:位置エネルギーの定義
4.ビデオ:いろいろな物体を台車にぶつけて、どれ位動くか
5. 講義:運動エネルギーの定義
6.演示:振り子の運動(途中を釘で止める・・・どこまであがる?)
7.講義:力学的エネルギーの保存
8.演示:振り子のカミソリ実験(位置から運動エネルギーへの変換)
   計算は実習です。高さ10cmで玉の初速度は? 20cmなら?
教師コメント
 カミソリ実験は班でやってもらいたかったのですが、残念ながら時間がありません。教壇の上でやってみせて、数値を使って、力学的エネルギーが保存されていることを確かめます。力学的エネルギーは中学校でもやっているのですが、名前は覚えていてもなかなかその中身までは記憶に残っていないようです。やはり中学校も時間がないのでしょう。


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《第10回 毛利さんの無重力実験:視聴覚室》


ビデオ「ふわっと宇宙」


授業内容
1.人間の回転 = 軽く角運動量の保存
2.宇宙でのおちゃらかホイ = 作用反作用の法則
3.こまの運動 = 運動を安定させるには
4.金属球と木球の衝突 = 重量と質量
5.3つの玉の運動 = 慣性の法則
6.水の球 = 表面張力について
7.マシュマロとピーナッツの混合
8.シャトルはなぜ無重力なのか? = 地球といっしょに落ち続けている。
9. 演示:ペットボトルの横に穴をあけて水を出す → 落すと?
教師コメント
 無重力は教室内ではぜったい体感できません。運動分野のまとめとしてこのビデオは最適だと思います。ただ漫然と見せるのではなく、クイズ形式がもりあがりました。宇宙開発事業団が出している「ふわっと'92 毛利 衛  宇宙で学ぶ理科実験」です。ぜひ見て下さい。

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