物理IA授業実践報告2学期期末考査試験範囲 エネルギー分野 |
環境教育ともあわせ、現在の理科教育で最も重点的に扱われる内容である。日常生活とのかかわりの深いエネルギーについて、日常生活と関連させ、熱と温度、熱の本質、熱の伝わりかたなどの基本的性質、直流回路の基本的な法則と電気エネルギー、エネルギーの相互変換と保存、核エネルギー及び原子力について理解させることがねらいである。摩擦による発火、圧縮発火、熱放射・伝導・対流の観察、直列並列回路の実測を通した相違点の理解、電気パンを焼く過程や自作の簡易リニアモーターカーが動く過程を通したエネルギーの変換、クリップモーターの製作、光電池の製作などの実験・実習を通し、エネルギーの本質について理解した。最後の時間は、クラスを2分し、パソコン室での放射線に関するCAIを使った学習と、視聴覚室での原子力エネルギーの発見されるまでの歴史の学習を同時展開し、原子力エネルギ−の危険性と平和的利用を考えることで、この分野のまとめとした。
| 1:エネルギーガイダンス |
| 2:熱エネルギーの正体 |
| 3:あたたまりやすさと熱の伝達 |
| 4:電気エネルギー・オームの法則 |
| 5:ジュール熱 |
| 6:モーターのしくみ |
| 7:発電器・ブリッジのしくみ |
| 8:相互誘導・トランスのしくみ |
| 9:太陽電池のしくみ |
| 10:放射線を目で見てみよう |
| 11:原子力エネルギーの発見 |
| 12:2学期期末考査 |
| 1.講義:このエネルギー分野で何を学習するのか |
| 2.講義:エネルギーの単位はジュール・エネルギーの種類 |
| 3.講義:仕事の定義 |
| 4.講義:仕事率の定義 |
| 5.講義:エネルギーの変換例(ゴム飛行機・自転車をこぐ・自動車が走る) |
| 6.演示:圧縮発火(何エネルギーから何エネルギーへの変換か?) |
教諭コメント
題目だけ見ると、理科Iでも扱ったような内容ですが、ここの教授内容がこの分野の最大のポイントです。Wはどうしても電気量の単位と考えがちですが、繰り返し繰り返しJ/秒だぞ!と念を押しました。エネルギーは形を変えているだけなのです。そしてどんどん変化している。そのたびに熱エネルギーとして消耗していく。特にこの辺りは裏読み物の永久機関で話をしました。圧縮発火は島津の教具を使ったのですけど、酸素の量が多すぎ2クラスともシリンダーを破壊してしまいました。来年はマッチの軸の量を減らすことにしたいと思います。
| 1.演示:木のこすりあわせによる火起こし(電気ドリルに「きり」) |
| 2.講義:熱エネルギー・熱運動・熱平衡 |
| 3.講義:温度とは=分子の運動レベルのものさし(セ氏・絶対) |
| 4.実習:温度計づくり(シャルルの法則で使った水銀柱) |
| 5.講義:熱運動と物質の状態(固体・液体・気体) |
| 6.実習:ペットボトルに水を入れ、2分間振る・・・エネルギー の変換は? |
| 7.実習:水ロケットの中の温度 |
教師コメント
火おこしは、電気ドリルにきりの鉄の部分をつけ、強制的にぶんまわし、タル木にきりの木の部分をこすりつけ発火させます。温度計は昨年シャルルの法則の検証に使ったガラス柱の中に水銀をとじこめたものを使用しました。空気温度計です。2分間振り続けるのはけっこう大変です。各班4人ですが、1人30秒で交代してクタクタになっていました。約2度位は上がります。水ロケットももちだして(水はいれません)空気圧をかけて、ペットボトルの中の温度計を見て、空気を入れる度に温度がグングン上がっていきます。
| 1.演示:紙の容器で湯をわかす |
| 2.実験:比熱の測定(アルミ・鉄・銅100g100度を熱量計へ) |
| 3.実験:すすをつけた缶の中でろうそくを燃やす=黒い方が暖かい(赤外放射) |
| 4.演示:マントルを強熱=白く光る(可視光線による放射) |
| 5.演験:ビデオ「目がテン 赤外線カメラ」 |
| 6.講義:熱放射・・熱エネルギーが電磁波として伝達する現象 |
| 7.演示:銅板のうえの3本のろうそくをはじから強熱=かなり時間がかかる |
| 8.講義:熱伝導・・分子のこずきあい |
| 9.講義:熱対流 |
| 10.演示:対流現象=空気砲(渦輪)とペットボトル2本でトルネード |
ひさしぶりにガスバーナーを使うのでちょっぴり緊張します。熱伝導・熱対流は比較的わかりやすいのですが、熱放射は電磁波として伝わるのでなかなか教えずらいところ。赤外線カメラやマントルを燃やしたり、熱→光→熱の変換のイメージづくりをこころがけました。渦輪やトルネードは熱対流とは直接関係ありませんが、興味を引くいい教材だと思います。
| 1.講義:復習=電力・電圧・電流・抵抗の単位と定義(Jが基本) |
| 2.講義:並列の利点と直列の欠点 |
| 3.実験:乾電池の中のエネルギー(横軸:時間・縦軸:電圧×電流でグラフ) |
| 4.実習:家庭の電化製品を流れる電流の量の計算 |
| 5.講義:電力量=エネルギー・電力=単位時間当たりのエネルギー |
| 6.実験:40W電球と60W電球、並列100Vのときの電流・抵抗の値 |
| 7.実験: 〃 、直列100V 〃 |
| 8.講義:定格電力 |
復習といっても、中学2年の学習事項は遠い忘却のかなたへ・・・・。エネルギーの単位Jから決めていきます。1W=1秒に1J、1Aは1秒に電子が流れる量、1Vは1秒に1Aの電流が流れたとき1Jのエネルギーを使う位の電子の勢い、1オームは1Vの勢いで電子を流したとき1A流れるくらいの通りにくさ、という感じです。新品単3乾電池に豆電球を10個並列につないで、電圧・電流の量を測定していきます。完全になくなることは時間内には無理ですが、グラフの面積がエネルギー(J)になります。かなりのエネルギーが蓄えられていることがわかります。40Wと60W電球は並列ですと60Wが明るくつきますが、直列ですと40Wの方が明るくつきます。これは生徒は不思議がります。
| 1.講義:電気エネルギーがなぜ熱エネルギーに変えることができるのか |
| 2.実験:電気パン焼き |
| 3.講義:有朋高校サイエンス部の高文連原稿=電気パンの中の科学 |
| 4.実習?:あとはおいしくいただく |
ステンレス板は知内町の板金屋さんから無料でいただいてきました。牛乳パックは我が家で飲んでためてあったものを使います。ひたすらモクモクと食べていました。しかし、サイエンス部の原稿は非常に教示深い。通電しているときに2回電流値があがることは経験から知ってはいましたが、中にビー玉を入れたりとか、なかなか探究的な発表でした。あまり、電流が流れなくなってしまうと、かなり固いパンが焼けます。
| 1.実験:右ねじの法則(方位磁針の上と下にエナメル線) |
| 2.講義:右ねじの法則 |
| 3.実験:フレミング左手の法則(エナメル線に磁石) |
| 4.講義:フレミング左手の法則 |
| 5.演示:簡易リニアモーターカー(アルミパイプがコロコロ) |
| 6.実験:クリップモーターの作成 |
| 7.講義:整流子(ブラシ)が必要な理由 |
方位磁針は50個3000円のミニモデルがあります(ケニス)。電池にエナメル線をつなげショートさせているので、その発熱量はすごい。手に持てないくらいです。リニアモーターカーは磨き具合が大切。ころがる方のニューム管だけでなく、レールもしっかり磨きましょう。クリップモーターは今年の科学の祭典でやっていた、つり下げ型をつくりました。単1電池にクリップをセロテープでつけ、磁石を電池にはりつけ、コイルをつり下げるタイプのものです。これなら失敗もほとんどなく、全員が回りました。
| 1.演示:電磁誘導(復習) | |
| 2.講義:レンツの法則(磁界にさからうように電流がコイルの中を流れる) | |
| 3.演示:クリップモーターを発電器に(ラジカセアンプで豆球を光らせる) | |
| 4.講義:発電器のしくみ→交流 | |
| 5.講義:ダイオード・コンデンサの役割(1学期の復習)手元の部品を観察 | |
| 6.演示:自作LEDブリッジで整流を説明→オシロで波形観察 |
電磁誘導はラジカセにつないだコイルにネオジムを近づけて、音がでることで復習しました。クリップモーターをマイク端子へ、イヤホン端子から豆球につなげれば、コイルを吹いて回せばガンガン光ります。ACDCアダプターのしくみの学習では、自作でブリッジをLEDでくんで、全波整流を見せ、コンデンサで充電放電を繰り返しながら、山谷を埋めて行くんだよ、と説明します。こんなに苦労しなくても、ブリッジはタコのような形で売っているのだ。生徒みんなで「なんでぇ買えばいいじゃん」。それがブラックボックスのはじまりです。まさかこの中にダイオードが4つ入っているとは思わないでしょ?
| 1.講義:なぜ家庭の電気は交流なのか、交流の利点は何か |
| 2.演示:相互誘導で豆球点灯・音楽を伝える・直流ではだめ |
| 3.講義:なぜ相互誘導がおきるのか |
| 4.演示:トランスの電流・電圧特性 |
| 5.実習:送電線の発熱量(500Vと10000Vどちらがお得?) |
| 6.講義:発電所の電気がラジカセを動かすまで(変電所・ブリッジ) |
まずエジソンの話から入ります。エジソンは直流派だったとか。しかし簡単に電圧を変えることができない直流は、送電線での発熱量が多くエネルギーのロスが大きすぎるため、だんだんと交流が使用されはじめました、という話です。ではなぜ交流が電圧を自在に変化させることができるのか?トランスという魔法の器具を通ると100Vから1万Vが取り出せます。電気エネルギー→磁気エネルギー→電気エネルギーへとスムーズに変換してくれるこの道具は、実は身の回りにたくさんあります。このアダプターの中に、電柱の上に・・・・。
| 1.演示:シリコン型太陽電池で光通信 |
| 2.実験:酸化第1銅を作り、光電池にする |
| 3.講義:シリコン型太陽電池のしくみ(半導体の復習) |
| 4.実習:太陽電池でまかなえる電力量の計算 |
銅を強熱して、真っ黒くして、さらに加熱して真っ赤にして急冷すると酸化第1銅ができます。先をとがらせたシャープのしんでポイントをさがせば、いいところで1V位とりだせます。この強熱がポイントです。古くは鉱石ラジオの時代から、検波用に様々な金属が試されたようですが、この酸化第1銅もそのひとつだとか。結構簡単に光電池はできるものです。1価の銅イオンの不安定さが(電子を出して2価になりたい)がこの電池の基本です。広い意味での光電効果ともいえるかもしれませんね。可視光線でも電子が出てくるんですから。
| 1.講義:復習:原子の構造・同位体の存在 |
| 2.演示:ウラン線源のアルファ線をGM管で聞く |
| 3.講義:放射線の種類・用語の説明(放射能・放射性物質) |
| 4.ビデオ「放射線を目で見てみよう」プリント学習 |
| 5.講義:電離作用・光電効果・コンプトン効果 |
HRを2つにわけて、パソコン室でCAI・視聴覚でビデオの同時展開をしました。ドライアイスを函館から買ってくると、途中でなくなってしまいます。どうしても霧箱を見せたかったのですが、ビデオの中で紹介しました。電離作用などの放射線の3種類の効果については軽くふれる程度です。半減期についてはやっていません。
| 1.講義:放射線の種類・用語の説明(核崩壊・核分裂) |
| 2.ビデオ「原子力エネルギーの発見」プリント学習 |
| 3.講義:原子力発電所のしくみ |
| 4.講義:未来のエネルギー=核融合のしくみ |
同位体が安定になろうとする=放射線の放出(核の崩壊)、むりやり不安定にさせる=中性子をあてる=核の分裂のイメージづくりは板書ではなかなかうまくいかないもの。ここは原子力エネルギー発見の歴史(レントゲンからフェルミまで)をじっくり解説することで理解してもらいました。しかし、近代の物理学者の連携プレー、連綿と続くこの原子力関連の歴史は興味深いですね。普段から物理室の6台のパソコンに原子力関連のCAIをセットしてあります。休み時間に子供たちが遊んでいますけど、こんなことから少しでも関心をもってくれればいいかな、と思っています。2年前に行った原子力セミナー(東京駒込)でいただいたものが、今大活躍しています。