物理IA授業実践報告

3学期期末考査試験範囲 物理学の影響分野


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実践概略

 物理学が人間の社会生活から遊離した抽象的な学問ではなく、様々なかたちで人間の生活や考え方とかかわりをもっていることを調べ、人間との関連において物理学の意義を理解させることがねらいであり、現在の物理教育が最も必要としている分野であると感じている。しかし従来の物理にはなかった分野のため、各教科書によって、この分野の記述、解釈は統一性がなく、選択分野ということもあって、高校現場での実施の可能性が非常に薄い分野でもある。そこで私は、教科書を離れ、このねらいの原点に立ち返り、現在の物理学が目標としているもの(12の素粒子・宇宙誕生の謎・ダークマター候補と宇宙の将来・相対性理論の真否)と物理学の歴史(運動学・エネルギーの正体・光の正体・電気の正体)といった物理学の過去・現在・未来を学習することにした。そして、物理学の歴史の範囲では生徒に対し冬休みの課題として、世界の科学者の中から1人の一生をB4にまとめることを課し、それを授業で生徒がそれぞれ発表する形式をとり、単なる座学に終わらせないように工夫した。また、学年最後の時間で、物理演示実験20テーマを用意し、生徒2名のペアで、その実験を演示し、OHPと口答で他の生徒に説明し、レポートにまとめるという「卒業課題研究発表会」を本校の公開授業の形式で実施した(指導は昼休み・放課後を利用)。私は1年間の実験・実習を中心とした物理授業の成果がこの発表会で発揮されることを望んで実施したが、生徒は皆、研究した物理現象の内容を懸命に他の生徒に伝え、それらをレポートにまとめて提出した。そこには生徒自身が一生懸命取り組んだ様子が記されており、平成8年度の約50時間の物理IAの授業はこれで終了したのである。

【授業報告】


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裏読物とは授業プリントの裏面に刷ってある読み物です。
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 1:物理学の現在(素粒子物理)
 2:物理学の現在(宇宙のはじまり)
 *:冬休みの課題(科学者の生涯)
 3:卒業課題研究ガイダンス
 4:科学史(力学・エネルギー論)
 5:科学史(波動学・電気学)
 6:卒業課題研究発表会
 7:3学期期末考査








 

《第1回 物理学の現在:視聴覚教室》

(裏読物:スーパーカミオカンデ)


授業内容
1.講義:物質をつくる12種類の素粒子(クォークとレプトン)
2.講義:この世の4つの力(重力・電磁気力・強い力・弱い力)
3.講義:電弱統一理論・大統一理論・超ひも理論
4.講義:スーパーカミオカンデはなぜつくられたのか?
5.ビデオ:教育テレビ 宇宙の根源をつかまえろ(カミオンカンデの建設)

教諭コメント

 素粒子物理学は現代物理の最も中心となる分野です。力の統一が今最もノーベル賞に近いとも言われています。トップクォークが見つかったことで朝日新聞のトップ記事になるくらいですから、一般的な教養として、なぜ東京大学を中心にスーパーカミオカンデを高額を投じて建設したのか、物理学の今を教えました。
 実はこの授業のきっかけになったのが、本間一郎氏の教育テレビでの「市民大学」をすべてビデオでとって、じっくり見たことなのです。もともとは原子エネルギーの勉強にと思って始めたのですが、これがかなり興味深い内容でした。この世の根源は何か?人間ならだれでも知りたいです。私は物理学科出身ではないので一からの勉強でしたが、いいビデオがあって助かりました。

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《第2回 現代物理が探究する謎》

(裏読物:宇宙のはじまり)

授業内容
1.講義:宇宙の構造への探究の歴史:アインシュタインからホーキングまで
2.講義:現在有力視されている宇宙誕生のストーリー:ビッグバンほか
3.講義:今わかっている宇宙の構造:泡状構造・グレートウォールほか
4.講義:現在の謎:これがわかればノーベル物理学賞
・・・・・・・1)ハッブル定数・宇宙の年齢の謎
・・・・・・・2)ダークマター候補・宇宙の寿命の謎
5.講義:一般相対性理論・特殊相対性理論

教師コメント

 この授業は雑誌ニュートンを大いに参考にしました。よく特集が組まれています。特にダークマター候補については、世界中の物理学者達がしのぎを削って探究しています。アインシュタインの相対性理論はおまけです。今この考え方も(ローレンツ収縮とか)反対が起こっているようです。お話だけで終わって、もっぱらアインシュタインの人柄について話しました。非常に生徒は興味を持ってくれたようです。

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《第3回 卒業課題研究ガイダンス》

(裏読物:レポートの書き方)

目標

高校物理5単元の代表的な物理実験の準備・原理説明・発表・演示・レポート による報告を通して、日常生活に物理的・科学的な探究心が必要であることを 学習する。

準備

発表までの昼休み・放課後に先生の指導を受ける。 実験機材は各自で用意する。OHPシート・マジックだけは貸 し与える。

担当人数

2名1組で19テーマのうちの1つの実験を担当。 (1テーマは3名1組) 内容:口頭による発表・演示実験・ OHPを使った補足説明(発表は5分程度)考察を含めたレポ ートの提出(学年末考査最終日)

評価

3学期期末評価100点のうち、20点分を配当する。 (発表5点・演示実験5点・OHP5点・レポート5点)

参考資料

いきいきわくわく物理、青少年のための科学の祭典ガイドブック、教科書


演示実験一覧


【力学(運動分野)より】

1.ペットボトルを落として、水が止まる(無重量空間)
 2.鳥の羽と鉄の玉の真空落下(自由落下)
 3.ペットボトルロケットはなぜ飛ぶのか(作用反作用の法則)
 4.ホバークラフトはなぜスムーズに動くのか(慣性の法則)
 5.モンキーハンティング(斜方投射と鉛直落下)

【熱力学(熱エネルギー分野)より】

 6.ペットボトルの中の雲づくり(断熱膨張)
 7.空き缶を熱水を利用してつぶす(圧力)
 8.デカルトの浮沈子(ボイルの法則)
 9.ゴミ袋の熱気球(シャルルの法則)

【波動学(音と光分野)より】

 10.共振振り子(共振)
 11.レーザー光線と偏光板(偏光)
 12.音で音を消す(干渉)
 13.定常波をあんま機でコントロール(定常波)

【電磁気学(電気エネルギー分野)より】

 14.地磁気を使った縄跳び発電(電磁誘導)
 15.静電気で蛍光灯をつける(電荷の考え)
 16.スズランテープの空中浮遊(電場)
 17.なんでもスピーカーにしてしまおう(電場と磁場)

【原子物理学(原子エネルギー分野)より】

 18.古テレビを使って電子ビームを曲げてみよう(ローレンツ力)
 19.紫外線で電子を叩き出そう(光電効果)
 参考にしたのは、といっても「やってみなさい」と勧められたのは、函館中部高校の関川先生の授業実践です。物理IIの中で設定されている課題研究を、生徒への物理の興味付けのきっかけとして導入し、2名1組で演示実験を行う(しかもそのテキストは英語!!)というものです。始めて見たとき「これしかない!」と思いました。関川先生から実施上の諸注意を聞き、早速やってみようと思ったのが、この卒業課題研究発表会です。公開授業にして、本校の色々な先生にも見ていただきました。生徒は期待以上の発表だったと思います。ただやはり準備の時間が短すぎ、深い考察までいけなかったのが残念です。関川先生の場合は、後の授業で実験名人として、その生徒達を授業中に登場させますが、私の場合はやりっぱなしで終わってしまいます。
 発表会のページで発表の様子、OHP、レポートを載せています。みんなよくがんばってくれました。
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《第4回 物理学の歴史(力学・エネルギー論)》


ケプラーについて発表する彦野君





授業内容
参考資料 数研出版 物理IB 巻末資料より
・・・・・・・随所に生徒の世界の科学者の口頭発表をおりまぜながら
1.講義:力学体系の完成の歴史
・・・・・・・プトレマイオス・コペルニクス・ケプラー・ガリレオ・ニュートン
2.講義:エネルギー論体系の完成の歴史 
・・・・・・・ライプニッツ・デカルト・ワット・ランフォード・ヘルムホルツ
教師コメント
発表の準備は昼休み・放課後に行うので、授業はこの分野を学習します。ちょうど数研出版の教科書の巻末にほどよくまとまっているものがありましたので、これを参考に授業を組み立てました。(2)より(1)に力が入りました。冬休みの課題の発表も併せてやっています。よくまとまっているものは誉めまくりました。

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《第5回 物理学の歴史(光の解釈・電気学)》


ボルタについて発表する小板さん




授業内容
1.講義:光の正体が解明されるまで
・・・・・・・・ユークリッド・スネル・ホイエンス・ヤング・アインシュタイン
2.講義:電気の正体が解明されるまで
・・・・・・・・フランクリン・クーロン・ボルタ・オーム・ファラデー・トムソン
教師コメント
特に光の幾何・粒子説・エーテル論・波動説・そして2重性の話が中心です。

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