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液体窒素



−とても低い温度の世界をのぞいてみよう−



執筆者:函館市戸倉中学校(函館市中学校理科教育研究会所属) 佐々木 優先生

函館市中学校理科教育研究会からひとこと:
私たちが所属する函館市中学校理科教育研究会は、中学校理科教育の研究とその振興を目的として、函館市の中学校理科担当教師、ならびに会の趣旨に賛同する者で組織されています。
今回は「液体窒素」、「大気圧」「電気クラゲ」の3つのブースを担当します。多くの方々に科学の不思議さ・楽しさを少しでも味わっていただければと考えております。


なんの実験かな?

窒素という気体(ガス)を知っていますか。 私たちのまわりにあるたくさんある気体で、 空気の体積のおよそ5分の4を占めています。 酸素のように他のものを燃やすのを助けたり、 水素のように空気と混じったときに火がつくと 爆発するような気体でもありません。 閉め切った部屋でたくさん吸わない限り、 安全な気体です。 今回は、−196℃という低い温度で液体となった窒素を用いて、 いろいろな物を液体窒素の中に入れ、どのような変化が見られるか、 観察して下さい。



用意するもの

液体窒素、ジュワーびん、
火ばさみ、防寒用手袋、花
ゴムボール、バナナ、マシュマロ
金属製ボール、泡立て器、生卵、砂糖、牛乳


やり方

1.花を液体窒素の中に入れてみよう

(1)ジュワーびんの半分くらいまで液体窒素を入れます。
液体窒素の沸騰がおさまるまで待ちます。
(2)茎を持って、花を液体窒素の中にゆっくり入れます。
(3)液体窒素の沸騰がおさまったら、花を取り出して、
防寒用手袋をはめた手で花をにぎってみましょう。




2.ゴムボールを液体窒素の中に入れてみよう

(1)空気の入ったゴムボールを液体窒素の中に静かに入れます。
(2)液体窒素の沸騰がおさまったら、ボールを取り出し、
棒で軽くたたいてみましょう。
(3)最後に、ゴムボールをかたい床に落としてみましょう。


3.バナナを液体窒素の中に入れてみよう

(1)バナナを液体窒素の中に静かに入れます。
(2)液体窒素の沸騰がおさまったら、バナナを取り出し、
防寒用手袋をはめた手でバナナを持って、
バナナでくぎを板に打ちつけてみましょう。

4.ポリ袋に入れた気体を液体窒素に入れてみよう

(1)ポリ袋の中に空気を入れ、口の部分をしかりとしばります。
(2)ポリ袋を液体窒素の中に入れ、液体窒素の沸騰がおさまったら、
ポリ袋を取り出します。
(3)ポリ袋の中の空気はどうなったでしょうか。
ポリ袋をしばらく部屋の中においたままにすると、
袋はどうなるでしょうか。
(4)今度は、ポリ袋の中に、空気ではなく、
酸素を入れて空気のときと同じようにやってみましょう。

5.マシュマロを液体窒素に入れてみよう

(1)ふわふわのマシュマロを液体窒素の中に入れます。
(2)しばらくしたら、マシュマロを取り出し、
素早く口の中に入れ、食べてみましょう。

6.アイスクリームをつくろう

(1)金属のボールに卵を入れ、泡立て器でよくかきまぜます。
牛乳と砂糖をさらに加え、よくかきまぜます。
(2)液体窒素を口の広い大きな発泡スチロール容器に入れ、
その中に金属のボールを入れ、素早くかきまぜます。
(3)1分間ほどで冷たいアイスクリームのできあがり。




不思議はどこだ

1.液体窒素の中にものを入れると、沸騰して泡がたくさん出ます。
この泡の正体は何でしょうか。
2.液体窒素の中に、花やゴムボール、バナナを入れると
なぜかたくなってしまうのでしょうか。
3.空気や酸素を入れたポリ袋を液体窒素の中に入れると、
なぜちぢんでしまうのでしょうか。


考え方

1.空気中にある気体の窒素は、1気圧では、
およそ−196℃で液体になります。つまり、
液体窒素は、−196℃で沸騰して気体に変化します。
液体窒素の中に花などを入れたときに出てくるたくさんの泡の正体は、
気体の窒素です。

2.花などを液体窒素の中に入れると、
液体窒素は急にあたためられるので、
沸騰を始めます。しばらくすると、沸騰がおさまります。
そのとき、液体窒素の中にあるものの温度は、
液体窒素とほぼ同じ温度(およそ−196℃)になっています。
このような低い温度では、花やバナナの中にふくまれている水分は、
凍りついてしまします。
ゴムは、やわらかさを失ってかたくなってしまいます。
ただし、マシュマロの中はすきまだらけです。
そのために、マシュマロは外側だけかたくなり、
中はサクサクとなります。

3.一定の圧力のもとで、気体の温度を下げると
一定の割合で体積が小さくなります。
これを式で表すと次のようになります。

     V=V0(1+t/273)

V:気体の体積 V0:0℃のときの体積
 t:温度(℃)
  つまり、空気の温度を下げると、
体積はどんどん小さくなります。
1℃1気圧で645m3の窒素が液体になると、
体積は1m3になってしまいます。
また、酸素は、1気圧では−183℃まで温度が下がると
液体になってしまいます。
つまり、気体の酸素を液体窒素の中に入れると、
酸素は液体になってしまいます。



実験のカンどころ

1.短時間であれば、液体窒素にふれたり、
液体窒素の中に手を入れても大丈夫です。
液体窒素は体温により瞬時に蒸発し、
手のまわりに気体の窒素の膜ができ、
手を守ってくれます。ただし、ぬれた手で
触れたりすると凍傷になってしまうので注意して下さい。

2.液体窒素の中で冷やしたものを、絶対にすででさわったり、
持ったりしないように注意して下さい。

3.マシュマロのように中がすきまだらけのお菓子は、
冷やして食べても安全ですが、チョコレートのように、
中がつまったお菓子は、中まで−196℃となり口の中に入れると、
口の中の粘膜や舌にくっついてひどい凍傷になり、とても危険です。


もっと知りたい人へ

1.液体窒素は、業者により幅がありますが、
1リットルあたり200〜600円です。

2.液体窒素を利用した実験としては、フィルムケースロケット、
ベルヌーイの定理、プラスチック消しゴムの破壊(熱膨張による破壊)
などがありますが、容器や消しゴムの破裂などの危険性がともないます。
事前の実験を十分行うとともに、経験のある方と一緒に実験を行うよう
にして下さい。