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  南茅部町の露頭ガイドホームページの作成  

北海道南茅部高等学校:理科部
2001年度研究テーマ

○鳥山裕俊(3年)金谷弘樹(3年)





写真をクリックすると大きくなります。
ページ内の地学用語をクリックすると、ページ末の「用語解説」へリンクします。


最初に南茅部町を紹介します!!

南茅部町ホームページはこちら!!





南茅部町全景(海岸段丘状の細長い町)



私たちの住む南茅部町(みなみかやべちょう)は、函館のある、亀田半島の太平洋岸に細長い、海岸段丘上の人口8,000人の町です。
南茅部町は南北に細長く、まさに海と道と山しかない印象を持たれますが、新第三紀から第四紀の様々な海底火山活動のあとが残されています。



昆布漁が中心産業



 中心産業は、昆布漁を中心とした漁業です。町内でとれる天然の白口浜真昆布は、昔、天皇家にも献上されたことで、とても有名で、今でも大坂・関西方面の料亭などのダシ汁に、非常に良く使われています。



話題の縄文遺跡と資料展示室(大船C遺跡)



 最近、大船C遺跡をはじめとする縄文遺跡が多数発見され、町内の著保内野で発見された中空土偶や世界最古の漆塗りの工芸品など、貴重な遺物がたくさん発見されています。これについては、南茅部高校の「縄文クラブ」が高文連郷土研究部で、毎年発表しています。



 一昨年前に、発掘された縄文土器や、遺物などをならべる「展示室」がオープンしました。道南に来る機会がありましたら、ぜひお越し下さい。





南茅部町クリーンセンター(大型ゴミ処理施設)



 南茅部町の人々は海のめぐみを受けて生活しているので、環境には特に気をつかっています。7年ほど前に、ダイオキシンを発生させない最新の焼却施設や、汚水の浄化処理施設をかねそなえた「クリーンセンター」が建てられ、私たちの先輩方も見学にいきました。

見学の様子のページはこちら!!




北海道南茅部高等学校(中心部の川汲の高台にある)


南茅部高校のホームページは
こちら!!



 私たちが通う南茅部高校は、町内の中心部の川汲地区の高台にあり、内浦湾を一望できる、すばらしい景色が自慢の学校です。  今回の研究は、町内の様々な露頭をデジタル写真におさめ、デジタル地図とリンクさせることで、地質データをインターネットのホームページ上に表現し、南茅部町の地質の情報を発信することを目的にしています。






南茅部町北部地区

見たい露頭をクリックしてください
河川の水質データは、別windowで表示されます。







南茅部町南部地区

見たい露頭をクリックしてください
河川の水質データは、別windowで表示されます。






1.火道と枕状溶岩(岩戸)



岩戸地区から南の方角(中央に旧トンネル)

 国道から山の方へ少し入り込むと、旧道のトンネルがあります。
奥へ入り込んでみましょう。


火道跡

 旧トンネルの上から高さ30mほどの崖の上まで続く幅2mの縦しまの岩石が見えます。溶岩の通り道、火道で、最も上のところはロート状に開いていて、噴火口がすぐその上にあったことがわかります。写真の左の露頭には、下から2m位のところに幅50cm位の砂岩層があり、その上の方には枕状溶岩が、下の方には凝灰岩とガラス質の水冷破砕岩が観察されます。


火道跡

 溶岩の通り道「火道」、幅50cm位の砂岩層、上には枕状溶岩、下には凝灰岩水冷破砕岩です。


左の路頭に見える枕状溶岩

 玄武岩質溶岩が水中に流れ出したとき、水で急激に冷やされて、枕のような形で順番に堆積したものが枕状溶岩です。この辺りは、浅い海底にあったものと想像されます。枕状溶岩の直径は0.5〜1m位のものが多いです。



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2.火山弾と凝灰集塊岩(黒羽尻岬)



黒羽尻岬

 旧トンネルから500mほど南へ行くと、黒羽尻岬があります。そこの露頭を紹介します。
 黒羽尻岬は「つり」のポイントで、季節になると、釣り人で大変にぎわいます。近づいてみましょう。


黒い火山弾が多数埋まっている

 暗灰色の大きな火山弾が観察されます。表面には気泡があいていて、大きさも直径10cm〜50cm位のものまで様々です。もう少しアップにしてみます。


火山弾の周囲には凝灰集塊岩

 火山弾の周辺は灰色の凝灰岩で埋められています。これは凝灰集塊岩(アグロメレイロ)と呼ばれる岩石です。かなりたくさんの火山弾が露頭の壁一面に分布しています。凝灰集塊岩が見られることから、水面近くで起こった海底噴火により、熱いまま火山弾凝灰岩層にあたったものと想像されます。




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3.硫黄泉(大船下の湯)



大船下の湯

 それでは、岩戸地区をはなれ、10kmほど南へ行ってみましょう。  大船小学校近くの交差点を山の方へ曲がり、1kmほど行ったところで、大船温泉下の湯があります。
 今から150年ほど前に発見された温泉で、温泉通の方々がよくいらっしゃいます。ちなみにここは、部員の金谷君のおじいさんの家です。


泉源=硫黄泉

 泉源は硫黄泉で、泉源は90℃近くで、日光の光線によっては、青〜緑色に変わります。硫黄独特のにおいが強く、あまり長い間近くにいれません。黄色い部分は硫黄です。更に上流に行くと、「南茅部ひろめ荘」があり、そこでは、ナトリウム泉質の温泉に入れます。




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4.硬質頁岩(黒鷲岬)



黒鷲岬

 では、大船下の湯から10kmほど南へ行きます。
 南茅部町の歴史は古く、北海道大謀網発祥の地としても有名です。その記念碑が建っているのが「黒鷲岬」です。
 ここの展望台は内浦湾を一望できる素晴らしい景色を眺めることができる人気ポイントです。養殖昆布の浮き球がきれいにならんでいる様子は、大変きれいです。



大謀網発祥の地の石碑

 これが大謀網発祥の地の記念碑です。ここから右の方へおりていくことができます。


変質した頁岩の石畳

 黒鷲岬から海岸を見ると、茶・黒・茶・黒・・・といった地層の重なりが岬の先の方に見られます。キラキラとした光沢をもっていて、ナイフのように鋭い硬い岩石が並んでいます。アップにしてみましょう。


鋭利な形をした硬質頁岩

 これは硬質頁岩です。南茅部の縄文遺跡からもナイフの代用品として、この頁岩が出土されています。
黒曜石がよくナイフの代用として登場しますが、南茅部に住んでいた縄文人たちは、この頁岩を利用していたようです。
この黒鷲岬のあたりも縄文遺跡が発掘されるそうです。




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5.安山岩溶岩と菊花状節理(獅子鼻岬)



獅子鼻岬

 黒鷲岬から南東の方向へ8kmほどいくと、海にはりだした「獅子鼻岬」があります。そちらへ行ってみましょう。
 ライオンの鼻に似ていることから、この名前がつけられたのだと思います。では近づいてみます。



安山岩溶岩

 獅子鼻隧道というトンネルの手前で山の方を見上げると、大変見事な安山岩質の節理が見られます。
 節理の高さは50m位はあると考えられます。



水冷破砕岩

獅子鼻岬の下の部分は、溶岩が水にさわって爆発的にとびちった水冷破砕岩も観察されます。


菊花状節理

 安山岩節理の隣には、菊の花が開いたように見える「菊花状節理」も発達しています。
 安山岩の溶岩が水中でとてもたくさん噴出し、それが直接固まった部分だと考えられます。




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6.古部の滝と溶結凝灰岩(銚子岬)



海へ直接落ちる滝:古部の滝

 それでは、南茅部町の最も南にある古部地区の地形を見てみましょう。
 南茅部町の一番南にある古部地区と、隣町の椴法華村をつなぐ古部トンネルの途中に、旧道へ入るための駐車場があります。そこからは、海へ直接流れ落ちる「古部の滝」を見ることができます。



旧道へ入る

 いまではすっかり使われなくなった旧道へどんどん入っていきましょう。


銚子岬の崖

 どんどん先へ進んでいくと、高さ30mほどの銚子岬につきます。
その露頭を観察すると、灰色の凝灰岩が一面に見えます。
もっと近くへ寄ってみましょう。


溶結凝灰岩

 直径5cm程度の丸い軽石を含んでいます。その軽石をルーペで見るとカクセン石と考えられる斑晶が見られ、ガラス質の薄い膜のような形が何重にもおおっています。これは「溶結凝灰岩」といい、丸山火山噴出物の一部と考えれていますが、その時期など活動した時代は、まだわかっていません。
もっとアップにしてみます。


溶結凝灰岩(アップ)

 火山灰が高温の中で、自分の重みで押しつぶされ、粒子同士が再結合した「溶結凝灰岩」です。レンズ状の部分は、軽石が自分の熱と重みでガラス化したところです。



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今後の研究方針について(予定)

 今回の地質のデータを基本にして、
  1. 南茅部町の植生分布
  2. 部活動の「縄文クラブ」が調査している縄文遺跡のデータ
  3. 授業の「地域研究」で取り組んでいる「南茅部町の川の水質データ」「川汲公園の植物図鑑」
    ※2000年に測定した4つの河川の基礎データはリンク済です。
  4. 南茅部高校の栽培漁業科があった時代の「海のデータ」「昆布のデータ」

をリンクさせていき、将来的には「南茅部町科学マップ」を作成できれば、と考えています。




ご覧いただきありがとうございました。





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参考文献
○「道南の自然を歩く」地学団体研究会道南班 編 北海道大学図書刊行会
○岩波理化学辞典 岩波書店


巻末付録:南茅部町関連の地学用語解説




あ 安山岩・・・・・
5.獅子鼻岬
灰色または暗灰色の中性火山岩を安山岩といいます。斑晶は斜長石(Caに富む),輝石がふつうで,角閃石,かんらん石,黒雲母もあります。石基は輝石,斜長石などの微細結晶やガラスから成っています。安山岩は日本のような島弧に典型的に出現し,日本の火山に多く見られます。安山岩質マグマの成因には,玄武岩マグマの分化,マグマの混合,沈み込んだ海洋地殻の部分融解など多様な説があります。



か 海岸段丘・・・・
南茅部町紹介
海岸の隆起、停止の繰り返しによって、階段状になった地形です。川で同じようなことが起こると「河岸段丘」といいます。。



か 火山弾・・・・・
2.黒羽尻岬
爆発的な噴火により,破砕されて噴出したマグマの破片のことです。大きさにより,火山灰(直径2mm以下),火山礫(2〜64mm),火山岩塊(64mm以上)と分類されます。空中を飛行する際に紡錘状などの特徴的な形状になったものを火山弾。発泡がよく,空隙の極めて多いものを軽石(白っぽいもの)やスコリア(黒っぽいもの)とよびます。



き 凝灰岩・・・・・
1.岩戸火道2.黒羽尻岬6.銚子岬>
主として火山灰(直径4mm以下の火山噴出物)からなる火山砕屑岩の一種です。火山砕屑岩ではもっとも細粒のものになります。



き 凝灰集塊岩・・・
2.黒羽尻岬
主として火山灰(直径4mm以下の火山噴出物)からなる火山砕屑岩の一種です。構成物が大きくなるにつれ,順に火山礫凝灰岩,火山角礫岩,凝灰集塊岩とよびます。



け 頁岩・・・・・・
4.黒鷲岬
はくり面が発達した泥質の堆積岩です。泥質岩が,堆積時の平行構造か,または続成作用によって圧縮,固化し,はくり性が生じたものです。



け 玄武岩 ・・
1.岩戸火道
細粒,緻密で灰色ないし黒色の火山岩です。多くの場合斑状組織をもち,斑晶としては輝石,かんらん石,斜長石,チタン磁鉄鉱などを含みます。石基は細粒の上記の鉱物およびガラスなどから成ります。ふつうは二酸化珪素45〜52%(質量)の範囲に入っています。玄武岩は地球上で最も広く分布する火山岩で,海洋底や海洋島(ハワイなど)の主要な構成岩石です。玄武岩マグマは上部マントルで、かんらん岩の部分融解により生成されると考えられています。



さ 砂岩・・・・・・
1.岩戸火道
粒径2〜1/16mmの砂粒子がこう着してできた堆積岩です。粒径によって粗粒,中粒,細粒砂岩に,鉱物組成によって石英質,長石質,石質(岩片)砂岩に分類されます。



し 新第三紀・・・・
南茅部町紹介
約2400万年前から約180万年前までの期間を新第三紀といいます。
新第三紀には、海洋ではイルカやクジラの仲間が多くの種に分化し、陸上では気候の寒冷化に伴い乾燥するにしたがって森林に代わって草原が広がり、ウシ科の動物が多様化しました。新第三紀後期の、今から約300万年前には北半球で大陸氷河が発達し始めます。



す 水冷破砕岩・・・
1.岩戸火道5.獅子鼻岬
溶岩が水に触れて爆発的に飛び散った岩石片のことです。



せ 節理・・・・・・
5.獅子鼻岬
火成岩が立方体に割れる性質を節理といいます。この獅子鼻岬の節理は、柱のように割れているので、柱状節理です。



た 第四紀・・・・・
南茅部町紹介
約180万年前から現在までを第四紀と呼んでいます。
第四紀は氷河時代とも呼ばれるように、気候はさらに寒冷になり、約70万年前からは大陸氷河は約10万年ごとに拡大縮小を繰り返すようになりました。氷河期にはヨ−ロッパや北米の大半は厚い氷床に覆われていました。約1万8000年前以降温暖化が進み、現在は間氷期にあたります。



ま 枕状溶岩・・・・
1.岩戸火道
玄武岩質溶岩が水中に流れ出た時に、水で急冷され、枕のような形に固まったもの。



よ 溶結凝灰岩・・・
6.銚子岬
主として火山灰(直径4mm以下の火山噴出物)からなる火山砕屑岩の一種です。形成時に高温下で自重で押しつぶされ,粒子同士が再結合したものを溶結凝灰岩とよびます。